紅孔雀

アスの紅孔雀のレビュー・感想・評価

アス(2019年製作の映画)
4.5
ビール監督自身が“ソーシャル・スリラー”と呼ぶシリーズの第2弾。前作『ゲットアウト』並みの大ヒットだったそうで、ご同慶の至りです。
「W座からの招待状」で信濃八太郎さんが「監督は黒人だが白人のように育てられた」みたいなことを言っていたが、何かアイデンティ・クライシスのような幼児体験があるのかも。根深いオブセッション(強迫観念)が2作品に通底しているような気がします。
タイトル背景の夥しい兎(注①)。行方不明の後失語症になる少女。赤い服と鋭利な鋏。末っ子ジェイソンの手品(注②)。様々な謎が充分に解明されぬまま、物語はある女性の微笑に収斂して終わりとなります(①②についてはネタバレコメントで言及します)。
私としては『ゲットアウト』の哀しみの深さに一票ですが、本作も再見すれば評価が上がるかも。何せ、一筋縄ではいかないコメディアン監督なもので(そのせいか、時々クスッと笑えます)。
PS: 先ほど再見したのですが、ほぼ同じ評点でした(笑)。最初の海岸シーンで鴎の大群が砂浜に蝟集(いしゅう)するところがあり、この不穏な感じはナンダ、と思ったのですが、2度見ても肩透かしでした。こうした伏線を回収する完全版があれば評価は上がるんですが‥。
紅孔雀

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