カネコ

アスのカネコのレビュー・感想・評価

アス(2019年製作の映画)
3.8
子供の頃にミラーハウスでドッペルゲンガーに会ったのがトラウマになっている女性アデレード。大人になり結婚して夫と2人の子供を連れてトラウマの地サンタクルーズにやって来る。その夜自分達家族にそっくりな人間に襲われる。

冒頭は過去のシーン・1986年。
ミラーハウスで停電のなかひとりぼっちだったらPTSDになるわ。と思ったらこれも伏線だった。ミラーハウスの名前に”自分探しの旅find yourself “

とにかく80年代アメリカのオマージュが盛りだくさん。

最初にアデレードが観ているテレビで流れるhands across America のCM。
ハンズ・アクロス・アメリカは、1986年5月25日、15分間にわたり、アメリカ合衆国本土で人々が手をつないで人間の鎖をつくったチャリティー・イベント。
アメリカのホームレス・貧困層の救済の為のイベントだったらしい。
このイベントが映画の中で重要な要素になっている。

MJのスリラーTシャツ🧟・息子の着ているジョーズのTシャツ🦈息子の名前がジェイソンでずっとお面を被ってる所とか。
双子の姉妹はシャイニングから👭息子が引き戸の棚とかロッカーに隠れるのも同映画から。

アリスのモチーフも多い。
檻の中の白兎は不思議の国のアリスから地下にいるイメージと動物実験の犠牲と繁殖のメタファーで地下のテザード達を表している。

娘のゾーラが着ている白兎のTシャツ、ミラーハウス、赤い服の絶対的存在は赤の女王でやっぱりアリスモチーフ。

他にも不気味な符号として出てくる11という数字。
11:11という時計の表示だったり、双子は1と1で11になるし、エレミヤ記11章11節はざっくり言うと破滅の予言。

分からなかったのはタイオワのくだり。調べたらネイティブアメリカンのホピ族に伝わる神話の創造主だそうで。こういうの詳しかったらもっと考察捗るだろうな。

地下のテザードとかいうドッペルゲンガー?クローン?達は貧困層のメタファーか。

でも肝心のテザードのいる意味が分からなかった。
あれを作って政府は何かメリットあるのか。双子が同じ行動したり発言したりするけど地下でなうで全く同じ動きしてるとか謎過ぎる。

余談だけど中学の時の双子の友人は検尿とか検便をどっちかが出なかったりしたら片方のを貰って提出してた。双子だし食べてる物も同じだから問題ないでしょって。

閑話休題。テザードはみんな言葉を知らないけどアデレードのペアであるレッドは喋れるのは元から地下にいた訳ではないって事で。

アスは私達とUS=アメリカのダブルミーニング🇺🇸
アデレードにアンタ達何者なの?といわれて私達はアメリカ人だと答える。
実際目の前で言われたらはぁ?!とち狂ってんのか?!💢と思うけどここがめちゃくちゃ監督の思想が反映されてる。

貧困層も人種差別されている人々もみんな等しくアメリカ人なんだとハサミを振り上げる。トランプ政権下での経済格差とか移民差別を批判しているように感じた。
そんなにアメリカの社会問題に明るくないので上手く言えないけど経済格差はアメリカだけの問題では無いし、鏡を見るように自分自身を振り返ってみろというジョーダンピールからのメッセージを受け取った。
こういう考察捗るモチーフがたくさん出てきてちゃんと答えに辿り着けるジョーダンピールの作風すごく好きだ。

F⚪︎CKとかas⚪︎hollとかでやいのやいの言ってた家族がそれ以上の事をめちゃくちゃにやった後の車の中での表情。今後この家族は平和に暮らしていけるんだろうか。特にお母さんのヤバい姿を見てしまった長男が心配。彼は母親が悪い方だった事に気づいちゃってるし。
まあその前にアメリカは崩壊しちゃってるのか。

たまたま玄関に置いてあるアイアンには笑った。
カネコ

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