Junichi

アスのJunichiのレビュー・感想・評価

アス(2019年製作の映画)
4.8
それゆえ主はこう言われる、見よ、わたしは災いを彼らのうえに下す。彼らはそれを免れることはできない。彼らがわたしを呼んでも、わたしは聞かない。

「エレミヤ書」11章11節


わたしたちにus宛名書きされた物語
合衆国US.United Statesに突きつけられた挑戦状

【撮影】10
【演出】9
【脚本】9
【音楽】10
【思想】10

今まである程度の数の映画を観てきましたが
最も恐ろしいと感じた作品
映画を観て寒気を感じたのは初めて
恐ろしくてそして哀しい

アリ・アスター監督作品とは相性が悪いのですが
ジョーダン・ピール監督作品とは相性が抜群に合います

露悪的で現実離れした設定を【あえて】使うことで
作品のテーマが日常であることを際立たせ
問題が現在進行形であることを突きつける
ジョーダン・ピール監督の手法に脱帽です

話の予備知識として得ていたのは
ある日
自分とそっくりの人間に乗っ取られるということ

映画冒頭のテレビ映像から伏線を張り
鏡やら、整形やら、双子やら、ハサミやら、青い円に赤い円やら…

伏線の考察や
オマージュされている作品を分析したら
それはもうレヴュではなくなってしまうので語りません

最後の最後
主人公の女性にまつわるエトセトラ
大転倒
息子を見る目
母を見る息子

暴力的なテロリズムなのか
差別されることへの正当な抵抗なのか

正義なのか
悪なのか

平和は抑圧の別名なのではないか?

エンドロールの対比的な曲まで露悪的
好きですねこういうの(笑)

ところで主人公の夫
初っぱなに金属バットで足をガンッ!てやられ
その後はずっと足を引きずるて
お前は藤原竜也かと(笑)

この映画を観て
心底恐ろしさを感じないひとは
それはそれで
まあそういうひと

すべてのひとにオススメです!
Junichi

Junichi