アキラナウェイ

アスのアキラナウェイのレビュー・感想・評価

アス(2019年製作の映画)
2.9
仮面を外したもう1人の自分が涙を流している。
その理由はラストで明らかになる…!!

色々無理があり過ぎてツッコミ北斗百烈拳。

1986年、サンタクルーズ。海岸沿いの遊園地で少女アデレードはミラーハウスに迷い込む。其処で出会ったのは、自分と瓜二つのもう1人の自分。彼女はトラウマにより失語症となる。

大人になったアデレード(ルピタ・ニョンゴ)は、失語症を克服し、夫と2人の子を持つ母となっていた。バカンスでサンタクルーズのビーチハウスに訪れた一家は、その夜、自分達と同じ容姿の4人家族の襲撃に遭う。

もう1人のアデレードの声がっ!!
低くて不気味で耳に残る。
ルピタ・ニョンゴ。
どんな練習してこんな声出したんだ。

ジョーダン・ピール監督。
低予算で制作した前作「ゲット・アウト」が大当たり。テイストは「ゲット・アウト」と似ているけど、ツッコミ所は格段に増えたと思う。

ネタバレ厳禁!!
気になるなら先ずは観て!!
でもツッコミ北斗百烈拳はぶちかましたい!!
という事で行間を空けます。
(ツッコミが100もないじゃねーか、というツッコミはご遠慮下さい。)

















●お友達ご夫婦は、何の躊躇いもなく殺されていくのに、主人公一家に対して、あまりに手を抜き過ぎのドッペルゲンガー一家。もっと本気出せよ!!ぬるい襲撃者達の所為で恐怖感に欠ける。

●クローン人間って言うけどさ。あれだけ大量の人間をどうやって量産したの?全員実年齢が一緒っていう事は、胎児の段階でDNAを何とかしないと無理だよね?人数が多過ぎて、引く。

●大量のウサギ達の意味は?

●地上の人間達と同じ行動を取るクローン人間達。クローン技術までは大目に見るけど、行動パターンまで同じというのは科学的にはどういう原理なの?クローンアデレードが、本物アデレードの行動パターンから外れて、地上に上がれたのは何故?

●象徴的に何度も登場する、旧約聖書エレミア書11章11節。しかし、肝心の『それゆえ、主はこう仰せられる。「見よ。わたしは彼らにわざわいを下す。彼らはそれからのがれることはできない。彼らはわたしに叫ぶだろうが、わたしは彼らに聞かない。」』という内容は調べなきゃわからない。ちゃんと映画の中で語った方が良くない?

●ラストのどんでん返しは、まぁ良い。でも、それなら、大人になってからのアデレードが、ドッペルゲンガー一家の襲撃を受けた時に、驚き、恐怖に慄く描写は違うでしょう。寧ろ迎え撃つ準備ぐらいしていないと。

●地下壕のクローン人間達が、アメリカ全土に広がっているのか、サンタクルーズ地域に限られた事なのかはわからない。どちらにしても、サンタクルーズは鬼門なのだから、アデレードはサンタクルーズにバカンスに出向くだろうか?いかなる手段を取ってでも、夫のサンタクルーズ行きを拒むんじゃないの?

●地下壕のクローン人間達を、創り出し、管理する者達が描かれないのは不自然。彼らだけで地下壕の暮らしは続けられない筈。管理者(=真の黒幕)を作中で描かなかったのは残念でならない。

●クローン人間達が手を繋いで…何をしたかったの?オリジナルを殺したなら、東海岸から西海岸を手を繋いでいくパフォーマンスなんてどうでも良くて、地上の生活を謳歌するんじゃないの?

監督が描きたかったのは、特権階級とそうでない者達の対比なんだ、というのは理解した。持つ者と持たざる者。現代のアメリカに対する痛烈な批判なのだと思う。

それでも、頭の中には疑問符しか浮かばない。
ツッコミ所をぜーーんぶ大目に見て、ラストシーンにゾクッとしたら、確かに面白いんだけど、僕はそれ程優しい人間ではない。