りん

アスのりんのネタバレレビュー・内容・結末

アス(2019年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

本作の結末を通して、2本の映画を思い出した。1つ目がクレヨンしんちゃんのロボとーちゃん。2つ目が八日目の蝉。

「偽物」であれば、存在そのものが悪なのか?「偽物」であれば、「本物」の記憶を植え付けられ自らを「本物」と思い込んでいたとしても悪なのか?勧善懲悪で物事を片付けることが果たして倫理観として正しいのかどうか。視聴者に考えさせてくる視点が、ロボとーちゃんにとても通じている。

また、ラストで息子が母親の存在に気付いたかのようなシーンがあったが、「偽物」と気付いたところですぐに彼は隣にいる母親を恨めるものなのだろうか。いくら「偽物」でもここまで育ててきてくれた存在なのに。その事実に彼はとても苦しむのではないだろうか。先ほど死んだ母親の「偽物」は一体…と考えてしまうのではないだろうか。どうしても彼の未来がどうなっていくのかを考えずにはいられない。八日目の蝉の主人公は結果として「本物」の母親との間に軋轢が生まれてしまったわけだけど、本作の親子関係は今後どのように転がるのだろうか。親子というものの在り方についても考えさせられる。
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