ケンヤム

家族ゲームのケンヤムのレビュー・感想・評価

家族ゲーム(1983年製作の映画)
4.6
現代の日本の家族像のみならず、競争社会を的確に捉えた名作。

食卓を囲まず、並んで食事をする沼田家。一人一人が本当の意味で向き合っていない。
2人兄弟の弟は受験が近づき、兄は退屈な学校生活を送っている。
親は、二人にプレッシャーを与え続ける。
プレッシャーを与えることが教育だと信じて疑わない。
そこに、1人の侵入者が現れる。
破天荒な家庭教師。
弟の家庭教師。
破天荒な家庭教師は、沼田家の「家族ごっこ」=「家族ゲーム」に付き合わされる。
家庭教師は、金のために黙々と任務をこなしていくだけ。
家族がどうなろうと関係ない。
弟は見事に合格。
もう家庭教師に、家族ごっこに付き合う理由は無い。沼田家の家族ごっこを象徴する食卓はめちゃくちゃにされる。その後、崩壊していくだろう沼田家を示唆しているかのようだ。
ラストシーンは奇妙。
父親のいない沼田家での昼寝。騒々しいヘリコプター。

家族ごっこ、平和ごっこ、会社ごっこ、学校ごっこをしている現代社会は、崩壊し始めているのかもしれない。私たちは、それに気づかず呑気に昼寝をしている。
今も、そしてこれからも。
ケンヤム

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