Violet

野獣のVioletのネタバレレビュー・内容・結末

野獣(2018年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

親愛なるフォロワー様たちのレビューを拝見し気になっていた短編②

観賞後のずっしり重たい気分たるや...
みなさんのレビューにもあるように、実際にありそうなことが、怖い。
最後にキツネが現れ少年が涙するシーンがどうしようもなく苦しい。
助けてくれた女性に事情を説明しようとするシーンでは、”I...My friend...I’ve .....”と言葉を絞り出す演技が素晴らしかった。

一つ前に見た「息ができない」も然り、特に子供はただの遊びやおふざけが度を越してしまうことってあると思う。
序盤から漏れ出すそういった危うい雰囲気と、取り返しのつかないことをしてしまった子供の絶望感が絶妙に表現されていて、特に子役の2人が素晴らしかった。

▼タイトル『Fauve』の意味。
邦題では『野獣』となっていますが、その意味を理解したくて色々調べたところ監督のインタビュー記事を見つけました🙌

そもそもフランス語のFauveは複数の意味をもつ単語らしく、英題を考えるのに苦労したと語っています。(英題は結局原題のままかな?)

Fauveの意味①wildcats、野獣
フランスではいたずらっ子たちをFauveと呼ぶらしいです。日本でもやんちゃな子供たちを「怪獣」とか揶揄したりしますね。これはまさにやんちゃ盛りの作中の2人の少年と、この作品のトーンを表しているとのこと。
監督は攻撃的なニュアンスを含ませたかったらしいです。

Fauveの意味②濃いオレンジのような色
この色は作中で2つの象徴(恐らく主人公の少年2人)を結びつけているとのこと。
たしかに1人はオレンジの服を着ていて、もう1人も上半身裸なので、この2人は映像全体でオレンジに映ります。

Fauveの意味③野獣派美術
鮮やかな田園風景を特徴とするのが野獣派美術です。作品のラストシーンは野獣派の作品からインスパイアされたものとのこと。
ラストシーンの画面いっぱいに広がる野原とキツネを見ると、この意味がよくわかります!

▼『Fauve』は子供の頃に見た悪夢から生まれた
田園地方で生まれ育った監督は、子供の頃に見た悪夢からFauve制作のインスパイアを得たと語っています。
こうした悪夢を監督は長い間気に留めておりませんでしたが、4年ほど前に小雨が降るぬかるんだ田舎道を走っていたところ、突如その記憶が蘇ったと語っています。その瞬間に、監督の中でこの記憶を映画にしなければ!という義務感が生まれ、子供時代をありのままに、かつ忠実に探求したのです。

参考: https://closeupculture.com/2018/09/04/jeremy-comte-on-his-award-winning-short-film-fauve/

▼自然の恐ろしさと美しさ
この作品でまた印象的なのは壮大な自然の美しさと、その恐ろしさだ。
恐らくこれはカナダのケベックにあるThetford Minesという町が撮影地となっており、ここは19世紀に発見された世界最大のアスベスト産地の一つである。City of White Goldとも呼ばれている。
ケベックには行ったことがあるけど、こんな場所があるなんてことは全く知らなかった....
ちなみにケベック、モントリオール、オタワはフランスの植民地として発展した街なので、カナダだけどフランス語が公用語です。フレンチカナダとも呼ばれています。
ケベックは超素敵な街なのでまた行きたい☺️
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