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宮本から君へのmのネタバレレビュー・内容・結末

宮本から君へ(2019年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

・勢いがすごかった。邦画では珍しい情緒な気がする。
登場人物の思考回路や行動が、全て自分とは正反対で考えもつかない方にどんどん転がっていくのが面白かった。

・性格に難がある人物が多かった。宮本・靖子を始めとして裕二や宮本の会社の人など全員何かしら問題があり、難がないただ良い人はほぼいなかった。(宮本・靖子の家族くらい?)
靖子の性格については、皮肉っぽいところや言わないほうが良いことを言ってしまう等なんだかなと思うところはありつつも、ある意味素直で自分勝手さが愛おしいと思った。
自分で生きていきたい強い気持ちとそうすることはできない弱さが入り乱れていて、映像作品として見る分には可愛らしい人間だと思った。

・エンディングがとにかく良かった。フィルム風の宮本・靖子の写真はとても輝いていて、作中の汚くてモヤモヤしたシーンを一掃してくれた。エンディングとして非常に優れていたと思う。音楽も爽やかで熱くて作品の最後に温かい気持ちにさせてくれるとても良い曲だった。
作中には出てこない薔薇が印象的に何度も登場するのも、宮本の熱く情熱的な想いのメタファーになっていて素敵だった。何度も出てきた宮本の血だらけの姿が花びらになったようにも思える。

・蒼井優のブチギレる演技が痛快だった。経緯は共感できないものが多く理解に苦しむ部分が大半だったが、声を張り上げて叫ぶシーンは「こんなに感情をそのまま表すことができるのは羨ましい」と思わせてくれた。あと回想シーンの編み込みヘアが可愛い。

・夢のような恋人関係を思わせるシーンと、絶望するような胸糞シーンの落差がすごかった。作品としての緩急と捉えれば良いのかもしれないが、胸糞度合いはもう少し控えめでも良いのではないかと思う。

・ツッコミどころが多すぎて没入できない部分も多かった。
前述の登場人物の思考回路を踏まえると仕方がない部分ではあるが、もうすこし理性的な行動をする場面があっても良かったのではないかと思う。

・強姦や喧嘩などショッキングな映像が多く、胸糞悪い上に精神的ダメージが大きかった。事前にリサーチしておくべきだったと思う…。
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