SANKOU

宮本から君へのSANKOUのレビュー・感想・評価

宮本から君へ(2019年製作の映画)
5.0
決して明るい内容ではない。なのに何故だろうか、この突き抜けるような爽快感は。宮本が誠意を見せようと必死になればなるほど、申し訳ないが笑いが止まらなくなってしまう。過去と現在を行ったり来たりの展開がとても面白く、冒頭でいきなり宮本が喧嘩をして相手を病院送りにしたシーンから始まり、何だかとんでもなく危ない野郎なんじゃないかと思わせるが、綺麗に前歯がなくなった彼の笑い顔と歯抜けのせいでスッカスカの喋り方で一気に空気が緩んでしまう。とにかく登場人物に感情移入させる演出がとても上手く、宮本も靖子も性格に爆弾抱えていて、はっきり言って実際にいたらかなりめんどくさそうな奴なんだけど、最後まで応援したくなってしまう。肝心な時に全く役に立たないし、いて欲しい時にもいない宮本だけど、彼には誠意と、そして自分本位かもしれないけれども、靖子を守りたい、靖子と一緒にいたいという絶対に曲げられない強い思いがある。拓馬という巨漢で腕っぷしが強いのをいいことに、その力を自分より弱いものに振るう分かりやすいほどに悪役なキャラクターが登場するのも面白い。エンドクレジットで宮本浩次が歌う曲の「俺は君を愛してるの?それとも愛に憧れてるの?もはやどうでもいい。俺の全てでこの世を愛していこう」という歌詞がこの映画の内容をうまく表しているなと思った。
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