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宮本から君へのchamのレビュー・感想・評価

宮本から君へ(2019年製作の映画)
4.8
痛めつけられたり痛めつけたりの連発で誰もが受け入れられる映画ではないかもしれないけど、事前に原作を読んでいたのでここまで描き切っちゃうんだ!と驚いたのと同時に、ここまで描いたからこそ、この映画を作った人たちはその責任をしっかりと背負っているように感じました。その覚悟が宮本役の池松さん、靖子役の蒼井さんの佇まいからもひしひしと滲み出ていて、苦痛を与えるリスクを抱えながらそれを越える宇宙規模の生きる強さを実感したような気がしました。
池松さんも蒼井さんも悪役側だった一ノ瀬さんも身も心もボロボロになるような演技をしていて、みなさん自分の身を犠牲にして世の中に大きなものを投げつけていたと思う。
弱い立場に置かれた人が誰かの軽薄な悪意によって取り返しのつかないつらい思いをしたり、どうすることもできない事態にいつのまにか追い込まれ苦しんでる人がいたり、そんなことは当たり前のように現実に存在していて、この映画を観て世の中のつらい事が解決されるなんて思わないし、みんなが宮本のように立ち向かって生きるなんてこともあり得ないことだと思うけど、人は自分の思いで生きることができ、自分の力で強くなれるという事を我が道をひたすら突っ走る宮本に見せつけられた気がします。
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