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宮本から君へのトレバーのレビュー・感想・評価

宮本から君へ(2019年製作の映画)
5.0
先日、やっっっと、観に行けました。
思い入れが尋常ではない作品なので、
絶対レビュー書きたかったけど中々書けずで。

もう、約30年前になるんですよねー。
原作を、毎週雑誌を買って追っていました。
職場(服屋さん)でボクが持ち込んで回し読み、
いつしか誰かが昼休憩の時に買ってきてって感じになり。

本作を観た方なら分かると思うんですが、
かなりキツい展開がありまして。
まだコンプライアンスだなんだとかが無い時代でも
相当物議を醸し出したんです。読者人気もガタ落ちしたそうです。
それまでは、熱血空回りサラリーマン物語だったから、
当時まだバブルの余波が残っていた頃なので
反動でその熱さが人気あったようなんですけど、、、。
職場では、むしろそこらへんからより目が離せない状態になってました。
本作のクライマックスの時は本当に読んでて
宮本のように雄叫びをあげたくなりました。

仕事も遊びも一生懸命だった頃、打ちのめされ
心酔した忘れられない原作がドラマ化され、
主題歌をエレカシが担当するという驚きは
(主人公宮本の名前は、エレカシからです)
おいおい、テレビで放送するのは無理だろ!?
という気持ちが先に行きましたし、
実際ドラマ化されたのは前半のまだ熱血サラリーマンの部分でした。
やはり肝心な部分は無理だったのか、、、
と残念に思っていた矢先の映画化の発表!
本作の、ドラマから映画、までの道のりは
足掛け10年近くかかったそうです。
映画化も、ドラマが終わった時点で一度頓挫して
主演の池松壮亮(原作をかなり前に読み感動、主演に選ばれてからドラマ、映画と中々企画が進まない中辛抱強く関わり続けた功労者、かつ最高の宮本を演じました!)や関係者各位、プロデューサーの尽力で大逆転!制作の運びに。
完成したのは弩級の熱量、しゃらくさい諸々を吹き飛ばすパワーを持つ
大傑作映画でした。本当に感無量です。

愛情も、エゴも、全てひっくるめて、
人間賛歌ってところに辿り着くような
凄まじい作品です。

ヒロイン靖子(蒼井優の尋常では無い熱演!)の
扱いに関して作者自身ずっと引きずってらしたそうなんです。
自身の作ったキャラクターに愛情を注ぐ方なんで。
彼が描く暴力は、痛みが伝わってくるんです。
だから、一部で取り沙汰されている本作における
マッチョイズム賛美的な批判は全くの的外れで。
蒼井優が、宮本の魂の告白に本当に泣いてしまったと
作者に伝え、救われた気がしたと言っていました。
そんな作者新井英樹氏は本作で宮本の父親役で出演しています。

靖子の元彼、裕二のクズだけど人たらしっぷりを
見事に井浦新が演じていたのも感慨深くて。
ちょうど本作を読んでいた前後に、モデルとして
ARATAが活躍していたんですよね。
まさか、裕二を演じる事になるなんて当時のボクに
言っても信じないだろうなーw

多分登場人物一人一人の事やどの場面が好きか、とか
全部書いていたらこの3倍の分量になりそうなのでやめておきます。
瀧さんが思いの外ハマっていたのをはじめ、
笑っちゃうほど30年前の作品なのに今の役者が
あて書きのように似ていて(特にほっしゃんと柄本時生はソックリw)
いかに生々しく人物を描いている作家だとわかります。
人と、人の持つエネルギー、思い、愛もかな
描き続けた漫画家さんです。今も濃い作品を描いてらっしゃいます。

「愛しのアイリーン」もでしたが、
時代が変わり余計に批判を浴びそうなのに
今映画化が立て続けに実現しているのは
時代を越えたエネルギーを持った傑作を
何としても映画化したいという、
原作にヤラレた人達がようやく辿り着いた
ゴールが今だったという事だと思います。
時間かかったなー、約30年だもんなあ。
作者新井英樹さんも感慨深いだろうなあ。

あとは、あの深作欣二が惚れ込み脚本も配役も準備に入っていたけど
映画化が叶わなかった名作(テロと怪獣熊と怪獣のような男の物語、なんだか分かんないでしょ?wでも凄いんだ、、、)
「ザ・ワールド・イズ・マイン」を、監督の遺志を
継いでどなたか映画化してくれないか、願うばかりです。

ふー、予想通り長くなった。ゴメンナサイw
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