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仮面ライダー 令和 ザ・ファースト・ジェネレーションのchiのネタバレレビュー・内容・結末

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このレビューはネタバレを含みます

予想外にゼロワン本編の物語と密接に関わる内容で、考えながら観ることになった。史実の其雄は急かされることなく爆破プログラムを起動させたのち、最期の時間を或人と過ごそうとしたのだろうか。自殺を企図し、また災害を仕掛けておきながら或人を安全域まで避難させなかったことになるが、当時あの街から出られない問題でも存在したのか。
ロボットが決める人間との共存について、それを否定するのが非人間型で肯定し始めるのが人間型のモブであることは観る者への配慮だろう。彼らだけが残りかつ人間の真似事を続ける社会にやがて訪れる行き詰まりの回避ではなく、前向きな理由で再び望み始める描写がさらっと流されたのも良かった。そんなことはこの映画の主題ではない、AIと名乗る物質が一応夢物語ではないこの時代ではもはや些末な話なのだ。イズと或人は表情の演技が卓越している。

今回の映画がきちんと本編と接続するものだったことで、夏映画のウォズの設定が映画限定のものではないことをやっと飲み込んだ。女体化白ウォズが仮面ライダーそもそも論を更に掘り下げ、メタに突っ込み昭和を懐古する集団としてシリーズ通してのキャラが立ったように思える。

アクションシーンは前半の銃撃戦で画面酔いを起こし、ダメージがアナザー一号の登場あたりまで続いた。究極に絶望的な状況まで追い詰めてからのジオウ勢の登場はまさにアナザー世界から見たジオウ本編であり、主役のスライドを思わせた。今後もクロスオーバーすることがあれば、記憶を取り戻す描写も変身する描写も省いていきなりあんな風にやってくるのだろう。其雄は是之助の設定通りの「無難に良い父」なのだろうと思っていたが、案外或人への愛が(他人を気にかけないほどに)深く厳しく好感が持てた。
ついに世代間にまで及んだ特に意味のないライダーバトルはお約束通り新世代が勝利したようだが、その様子を直接描写せず間接的に伝えたことでショックを和らげてくれた。
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