靜

無垢なる証人の靜のレビュー・感想・評価

無垢なる証人(2019年製作の映画)
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アマプラで見逃していたらNetflixで配信されていてありがたい。「無垢なる」という謳いに眉を顰めながら鑑賞。
自殺しようとする老人と、それを止めようとした家政婦。家政婦は本当に自殺を止めようとしていたのか?老人を殺そうとしていたのではないか?が裁判の争点で、その場面を目撃していた向かいの家に住む少女の証言が重要になっていくのだけど、彼女は自閉症で…という設定。

家政婦側の弁護士(元は人権団体にいたけど、父親の借金返済のため大企業お抱えの垢付きまくり弁護士事務所に転職したばかり。やや疲れ気味な中年男性で、どうしてそれだけの色気が出せるのか意味が分からないチョン・ウソンの魅力が大爆発)と、自閉症の少女ジウ(適切な表現ではないかもしれないけれど、わたしが過去に関わってきた自閉症の方々を想起させるそのままの演技で過剰な違和感はない)の交流がメインで、自分とは異なる理の世界で生きる人とどのように意思疎通を図るかが意外と論理的に描かれていた。普通の人よりも敏感な面はあれど超人的ではない障害特性に沿った描写と、障害者の心をピュア路線でごりごりのラッピングをしていなくて安心した。ラストの大団円っぷりにはさすがに胃もたれを感じたけど、まあ微笑ましい範疇。

ちなみに家政婦役は、韓国映画ドラマで脇役のおばさん役をやらせたら超一級品でおなじみのヨム・ヘランさんで、今作でも彼女の演技に翻弄されました。彼女だけは、もし舞台にも出ていらっしゃるなら生で演技を見てみたいと思う。生で観たい。ヘランさんに会いたい。どんな人なんだろうかと人柄にまで興味を持つ韓国人俳優は彼女が初めてだ。
めちゃくちゃ良かった。
靜