おりょうSNK

映画スター☆トゥインクルプリキュア 星のうたに想いをこめてのおりょうSNKのレビュー・感想・評価

5.0
ぷいきゅあー、がんばえー!

「スター⭐︎トゥインクルプリキュア/星のうたに想いをこめて」
2019年 東宝
@T-JOY京都

レビュー書いてる割にはあんまり人のレビュー読まないしクチコミもさほど気にしないのだけど、Twitterでやたら評判がよくて、この作品。

特に僕の心を動かしたツイートは「みんなして観に行くならJOKERよりこっちだろ日本人!」だったけど、決め手は「天気の子より999999999倍面白い!」。
この2作品のタピオカ的現象にアレルギー起こしてるから、もう観るしかないと、4時間後にはチケット買ってました。ちなみにセーラームーンとおじゃ魔女どれみ世代です。

調べてみたら、2004年から続いている同シリーズ、現在のプリキュアは14代目にしてTVシリーズ16作目。かろうじて一作目の「ふたりはプリキュア」を当時小学校高学年になった娘と観てた淡い思い出があるけれど、こういうのって先に子供が卒業してちょっぴり寂しい思いをするもんだ。
そしてなんと劇場版は27作目だとか!これはキラやば!(使い方合ってます?)
寅さんを一作も観てなくてそろそろわが映画人生ヤバイなと思ってたけど、こんな長寿人気シリーズを観てないって、雑食スタイルを自負する男としてつらい。

お見事。これは評判高いはずだ。

当代プリキュア五人衆の中からひかる(キュアスター)とララ(キュアミルキー)の2人をフィーチャーしていて、いきなり始まってる宇宙空間での戦いには、特にシリーズものはイントロを削ぎ落とした方がいいよなと強く頷かされた。初見でも状況やキャラクターの関係性がほどなく理解できる優しさが嬉しい。

不思議な星型生物に出会うひかるとララの2人。この未知との遭遇で描かれるのは、異種間コミュニケーションと、大切だからこそ手放すことを選ぶおもいやり。書いてて泣きそう。
他の3人や宇宙妖精や犬のおまわりさんがただの取り巻きに終わらず、役目を果たしていく。そして、星型生物をがめつく欲しがる大人たち(の象徴として5人の異星人が現れる)。彼らは欲しくもないものを誰よりもがめつく手に入れて、欲する人へ高値で売り払う。現代社会への痛烈な警鐘さえ鳴らす作品だ。

圧倒的なバランスの良さも特筆。細かいギャグとシリアスのそれ、興奮とロマンチックのそれ、丁寧さと大胆さのそれ、激烈な戦闘と優しさ溢れる歌唱のそれ。
シンプルでありながらもかなり綿密で周到な構成で、70分少々の上映時間の中に100分作品ぐらいの情報と情緒を積み込んで定められたゴールへと向かっていく、少女と異生物と星と歌の物語!小さな子供が理解できる外角ギリギリの直球は大人にとってのホームランボールで泣いた!

そして本作劇場版の真髄は、応援の力。

小さな女の子たちがミラクルライト振って「ぷいきゅあ、がんばえー!」って声を上げる光景を、水で曇ってしまった目で後ろから2列目中央から眺めていた。美しかった。
たとえばアメリカの劇場では「あべんじゃーず、がんばえー!」とか言わないだろうから紛れもない日本の文化、伝統。美しかった。

今日時点のYahoo!映画の評点は4.63。投稿数209件でこの高い評点はなかなかない。
もちろんほとんどがプリキュアファンなのだろうけど、ファンムービーが常に評判高いかというとそんなことはなく、むしろ反対かも知れないから、その意味において本作は幸せしか産んでいない希有な作品といえる。

好みの作品だけ選んで観るのは、精神の弛緩。もののはずみでうっかり観てしまうのは、運命への挑戦。このスタイルでこれからも観ていく。
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