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目次
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『少しずつ』に投稿された感想・評価
CHEBUNBUNの感想・評価
2026/08/25 11:09
4.0
【あるニジェール人の記録】
日仏学院のメディアテークにて借りたジャン・ルーシュBOXにて『少しずつ』を観た。本作は『ジャガー』の続編的立ち位置の作品ではあるのだが、『ある夏の記録』とも密接に関わっている作品であり、ジャン・ルーシュを語る上で重要な一本であろう。
ニジェールで会社「少しずつ(Petit à petit)」を経営しているダムレが友人と共に高層ビルの建築のためにパリへやってくる。そしてフランス人の生態系を知るために「顔を測らせてください」とインタビューして回る。その計測は初対面の人に行うには異様なものとなっており、口を大きく開けさせ、歯を凝視するのだ。ゆえに蔑視の眼差しを向けて去っていく人もいる。
『ある夏の記録』では街行く人に幸せとは何かを訊いて回り、カメラを前に誠実な演技ができるのかを試す作品であった。『少しずつ』も同様にダムレが即興的にパリの人々へ質問して回る。パリを扱った映画においてアフリカの移民は周辺化され、フレームの外側に排除される傾向がある。また、ジャン・ルーシュ自体もそうだが、ヨーロッパの白人が植民地主義的にアフリカへ渡りカメラを回したり異様な間でその地の人々へ迫ったりする。
本作は逆の立場から描くことで、このような問題点を省みるものとなっており、『人間ピラミッド』や『ある夏の記録』で模索していた撮影と文化人類学との関係で生み出される問題を深化させた一本だといえよう。
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川の感想・評価
2022/01/14 22:53
4.2
『ジャガー』の主人公達が映画の中で立ち上げていた会社がでかくなってて、街にできた建物に対抗するために会社の複数階建てのビルを建てようとする。その視察のためにパリに行く話。
終盤までは『ジャガー』のパリバージョンとして、ニジェールの人がパリに暮らしてそれをドキュメントする形になっている。そのために、フランス人がニジェール人を撮った映画であると同時にニジェール人がフランスについて文化人類学的に体験したことについての映画っていう構造になる。その構造によって、主人公達のパリでの生活とそのセリフから、パリについて気づく以上にニジェールについて様々なことを知れるようになる。鳥の血抜きしないのってそんなやばいことなんだとか、確かにニジェールの建物洗えなさそうだなとか、確かに地下へ続く大きな穴って自然にあったら恐ろしいよなとか。
それと同時に、中盤までは地元で成功した主人公達が都市に圧倒されていく話でもある。最初は複数階建てビル建てるぜ!パリにも行くぜ!リッチだぜ!ってテンションでかかってた陽気なテーマ曲がちょうど中間あたりで再度かかる頃には何か虚しい響きに感じられる。
そこからは車買ったり知り合いができたり、段々とパリの人として馴染んでいって、終盤からは浮浪者含むパリで出会った人々を連れて帰って舞台がニジェールに戻る。パリで複数階建てどころじゃないものを見てきた主人公達、パリから来た面々とニジェールの人々の摩擦が大きくなる。主人公達がニジェールの外部に反転するので、前半で主人公の目線から見えた文化の違いが今度はそのまま自分達に返ってくる形になる。
ニジェールの人々とパリ含む資本主義的な社会があって、主人公達は最初はニジェールの人として前者との差異を体験していく、主に圧倒されていくけど、終盤は会社で成功していて資本主義社会を見て回った人として後者との摩擦を体験していく。そして、中盤までの比較による虚しさや終盤の摩擦による虚しさによって、最後はビルの話をおじゃんにして会社も抜けて、資本主義を捨てて元の生活に戻って終わる。
服がだせえ!って主人公がパリの人に叫ぶところから、パリの黒人の女の人が主人公達のセンスに合わせた服を着て仲良くなるところ、その女の人が作った服がニジェールの人達に貶されるところ、最初は変な帽子ってなってた浮浪者が生活の内容を聞いて納得するところなど、服がキーモチーフになっている感じがある。それが肌の色の違いっていうレイヤーの上にある、それぞれの社会に暮らすことで纏うことになった文化の違いを表しているように思った。
パリにたどり着いた時のニジェールと真逆の寒々しさが良かった。あと、怖がりながら入った地下鉄への階段を降りたらそのまま電車でリフトで雪山でイタリアみたいなとこで、さらに車でアメリカのビル群で気づいたらパリでタバコ吸ってるっていう飛躍しまくるシークエンスがめちゃくちゃに最高だった。
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