Clipしたままだった当作がアマプラのスターチャンネルEXにて配信されていたので、観てみた。
スウェーデン映画。
異形異能を描いている点はデルトロ作品にも通ずるところだが、その描写に愛おしさはなく、とても苦々しい。
異形の者を《それらしく》表現することに成功している見事な特殊メイク。
個人的には、指の細やかな表現の差異に惚れた。
巧みな設定。
主人公ティーナは、定住の居があり、税関職員として境界線を守っている。
ヴォーレは、放浪者であり、境界線をかき乱して一線を超える。
ティーナに深く関わる人間たちは、彼女に対して愛情や信頼を抱いていることもあるけれど、結果的にはティーナを利用している。
ヴォーレに関わる人間たちは、ヴォーレに利用されている。
うまい描写。
ドア、窓、檻、フェンス、税関、離れ、介護施設、マジックミラー。これらは境界や隔離を象徴している。
一方で自然のシーンでは、主人公たちと自然との一体感を感じさせている。
フェリーは・・・某渡し船みたいでもある。
性差の描写。
多様性を謳う世の中に対する強烈な皮肉なのかもしれない。
出産の設定。
鑑賞中は理解が難しかったが、鑑賞後にじわじわと襲ってくる気持ち悪さ、不気味さ。
あちこちで登場する飼育動物たち。特に犬。
あちこちで出現する野生動物たち。
鑑賞後、その対比にハッとさせられる。
後半、ティーナが生きてきた世界が崩れ始める。その心境は察して余りある。
ラストシーンの後、ティーナはどんな行動をとるのだろうか。
匂いは当作の重要ギミック。
先日鑑賞した『シン・ウルトラマン』をふと思い出した。