おみの

ボーダー 二つの世界のおみののレビュー・感想・評価

ボーダー 二つの世界(2018年製作の映画)
4.5
虫……おいしい……
インパルスのコントが大好きなんですけども、板倉ってこんな感じよなと思って最近抜き書きした『アイデンティティの権力』という本がまたまさしくこの映画よなって感じなので以下引きます。
「パロディの実践は、一般に流布している解釈(ドミナント・ストーリー)を茶化し、違和感を喚起し、距離を保たねばならないものでもあるため、そうした読み取りの訓練なしには容易に起こりえない」。ティーナが人間のチェックに長けていることは、ティーナが「一般に流布している解釈」のインストールを完了していることを示すのであって、もう自分自身が最も強く「一般」から自分を疎外している状態。
そういう人が読み取られる側としての自分の「既成のカテゴリー化を拒否しても、読み取り側は、なんとか既成の解釈図式にはめこもうと試みる。個としてのこうした攪乱の抵抗は、最も成功したときでさえ、理解不能なものとして忘却されるだけではないか」。このような成り行きでこの世にいわゆる〈気持ち悪い〉ものが誕生するという説。あると思います。
〈気持ち悪くない〉ドミナント・ストーリーでこの世のあらゆる存在を回収しようとするような試み、たとえばいわゆる福祉の進歩が、〈気持ち悪い〉ものの親。
おみの

おみの