Drエドガー

機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイのDrエドガーのネタバレレビュー・内容・結末

4.6

このレビューはネタバレを含みます

『僕はノア。ハサウェイ・ノアだ』

期待する声こそありながら、よもや本当に映像化されるとは誰が想像できただろう、そんな『閃光のハサウェイ』第一部。

初出はかなり昔の小説ではあるものの、登場するMSやキャラクターを一新し、最先端のCG技術で構築することにより古くささを全く感じさせない。
というかむしろよくここまで作り込んでくれたと拍手を送りたい。

リデザインされたΞガンダムとペーネロペーの疾走感あふれるドッグファイトも去ることながら、中盤のガウマンの軽口と共に夜空を舞うメッサーがもうカッコ良すぎた。
あーいうキャラクターは好きなんだけどガンダム世界ではわりと死に目にあっちゃう人の系統なので心配。。。

また今作の特徴として、市街地に立っているキャラクターからMSを見上げるようなカメラアングルが非常に多いことが挙げられる。
爆風に逃げ惑う人々から見たらMS戦ってこんなにこえぇんだ、っていうのが非常に分かりやすく表現されていてgood。
ジェガンさん、今までザコ呼ばわりして本当にすまなかった。

キャラクターに関してもデザインが刷新されていて、特にギギとケネスは良変化なんじゃなかろうか。
浮きまくりの不思議ちゃんながら全部を見通しているかのように奔放に振る舞うギギと、ノリが良くスカした雰囲気をまといつつも軍人としては超優秀(しかもCVは信頼と実績の諏訪部さん)なケネス。
マフティーハサウェイはもともと好きだったのだけど、本作を見てギギもケネスも同じく好きになってしまった。どうしよう。

ホテ泊中に散歩に出かけたハサウェイと街の人々の会話も、これまた味わい深くて良い。
現実世界でも政治と市民の思惑に大きな齟齬があるように、マンハンターの目に怯えながらの生活を余儀なくされている市井の人々にとって、マフティーの理念は所詮は耳障りの良い絵空事でしかなく、連邦とマフティーどちらが主となろうと明日や明後日の暮らしに変わりはない。
より良い未来を考えられるのは、裏を返せばその余裕がある人間だけの特権である。
マフティーという大役と、数えきれない程の業を背負い込まされ人知れず涙するハサウェイに、明日は来るのだろうか。。。

いろいろと書いてみたが、作品全体としては良作で、悪く言えば妥当。
驚く程緻密に原作を再現してある分、美麗な映像以外には特に驚く事もなくと言った印象。
ただ今さら原作を読むくらいならこちらで見た方が良いことだけは確かである。

ーーものすごく余談だが、原作小説では『ズガガガーン!』『ギャギャーン!』などのいわゆる効果音が文章中に普通に差し込まれており、当時高校生だった自分は読書中に『僕は一体何を読まされているのだろうか。。。』と感じたのを覚えている。
それでもチャレンジしたいと思う方は、是非とも原作に手を出してみてほしい。
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