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よこがおのchamのレビュー・感想・評価

よこがお(2019年製作の映画)
4.8
他人には見えない人の苦しみ、理性を失い裸にされた人の叫びが、サイレントで外には決して漏れることなく心の中に響き続けていました。
市子とリサという二つの顔を持つ主人公を演じた筒井真理子さんに圧巻で、窮地に立たされた彼女のあらゆる横顔にずっと見入ってしまったけど、最後気付いたときにはずっとちらちらと見えていた別の人たちの横顔も気になっていました。

私も親が癌で亡くなり自宅で終末医療を受けていたのでなんとなく自分の体験と重ねて見てしまいました。我が家でお世話になった訪問看護の方はとても親切で身の上話もしたけれど、さすがにここまで深くかかわりはしなかったな~と。市子がここまで深くかかわりあってしまったのが、かえって仇になってしまったんだなと、親切だった看護師さんの事も思い出しながらとても心苦しく感じました。

ただ、市子が甥っ子が幼い頃にやってしまった行為は許されるものではない。人間は誰しもが落ち度があって、あるきっかけで過去が掘り返され大問題になっていくことは、彼女だけでなくあり得ることだなと思った。

映画を観る前にいっぱい飲み物を飲んでしまったせいでトイレに行きたくなってしまったのですが、そんなことは二の次になってしまいずっと手に汗握り目が離せませんでした。エンドロールが終わった瞬間我に返り焦ってトイレに行きました...
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