栞

よこがおの栞のネタバレレビュー・内容・結末

よこがお(2019年製作の映画)
3.7

このレビューはネタバレを含みます

陰と陽が時系列を超えて交互に描かれていて、展開が読めない構成に観ている私は序盤からドキドキしっぱなしだった

基子はきっと純粋に市子が好きだったんだろう。市子に不幸になってほしかった訳ではなく、気持ちが重なりすぎてこういった展開に発展してしまった。でも社会的信用に関わる問題だからこそ、それによって市子の運命が180度変わってしまった。これは基子に限らず、ジャーナリズムにも大きく関わる問題。
日常的に発生する音が市子と基子の悲痛な心の叫びを代弁している。特にラストシーンのクラクション音はこびりついて離れない。

人間の二面性、社会の闇と、様々な“もう一つの顔”が垣間見えた。一つの顔が見えている間は、その裏にあるもう一つの顔が姿を消す。題名の通り、恐ろしくも儚い“よこがお”がそこにはあった。
最後、市子が基子を引いてしまうのではないかと私の心拍は最高値に達したのだけど、そうはならなかった。受け止めたつもりでも受け止めきれなかった様々な思いが溢れ出てアクセルを踏んでしまったけれど、結局は市子の根本的な人間性というか、良心が顔を出してそうはならない。ここに市子の絶望が描かれているなあと感じた。長々と記してしまったけど、とにかく筒井真理子さんという女優は本当にすごい…
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