モカセタエ

FYRE: 夢に終わった史上最高のパーティーのモカセタエのネタバレレビュー・内容・結末

3.5

このレビューはネタバレを含みます

Twitterで「東京オリンピックの酷さはこのフェスに似てる」とちょっと話題になってたので鑑賞。

とてつもなく恐ろしい話だった。

消費活動っていうのは、幾重にも重なった搾取の上に成り立つものなんだということを痛感した。
ビリーとジャが社員たちの能力と善意と信頼を搾取し、彼ら全員が客たちの夢と大金を搾取する。
そして一番下にいるのがバハマの人々。労働力と生活を搾取され、結局賃金は支払われていない。ビリーが数年服役したところで彼らの1ヶ月は戻ってこないし、レストランの経営者の心の傷は癒えない。


アメリカの音楽産業、イベント産業ってほんとに供給が飽和してるんだなと思った。
ありきたりなライブでは客が集まらないし誰も出演したがらない。だからとにかく特別にしないといけない。で、その手段として「とにかく高級にする」のが一番手っ取り早い。
しかも客は"高級である"ということだけで価値を見出してしまう。

FYREfesの失敗の責任ははもちろん作る側にあるけど、こういうことが起きてしまう市場の歪みの原因は消費する側にもあるっていうことだろうな。


証言する人たちが全員、ほんとに憔悴してたのが印象的。
でもほぼ全員「自分だけが被害者」みたいな話し方してて違和感あった。プロジェクトに関わってる以上、さらに末端の関係者とかスタッフにとっては加害者なんだよ。ビリーに売春させられた人だけがそのことに言及してた。


どんどん悲惨になってくフェスの映像と裏腹に、最初に撮影したバハマでのモデルたちだけがずーーーっと美しく輝いてて面白かった。
モカセタエ

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