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ロマンスドールのseaのネタバレレビュー・内容・結末

ロマンスドール(2019年製作の映画)
3.7

このレビューはネタバレを含みます

お酒を飲みながら観たせいもあってボロ泣きしてしまった。

何でも言い合える関係性でありたいよね。私もそうありたい。だからこそ、園子の寂しさも勿論わかるし、辛いことがあったときに一人でいたい哲雄の気持ちもわかる。

全体的に儚くて悲しいけど、所々の会話が本当に日常でクスッと笑えて(哲雄の「クララが立った」は一人でめちゃくちゃ笑った)、ものすごく好きな雰囲気だった。蒼井優のあの抱き締めたら壊れてしまいそうな、今にも消えてしまいそうな儚さはなに??!雰囲気も勿論だし、今回の映画でじっくりと顔を見て、本当に好きだなと思った。高橋一生も、役にとても合っていて素敵だった。

私が哲雄だったら、自分の愛した人を作って売るなんて(他の人も体感してしまうわけだし)嫌だけど、亡くなった直後に本当にまさに魂を込めて作り上げた作品だからこそ、そこに突っ込むのもなんだか違う気がした。最中に死んだのか不思議だったけど、ネットで調べたところ、小説だといきなり園子が腹上死すると書かれているらしいので、どうやらそうらしい。実際にもあり得るんだろうか。でもお互いに愛を伝え合って、そこで死ぬなんて、そんな幸せなこともない気がした。

「思い出さなくていいこともあるのかも。だって覚えてるばっかりじゃ悲しいこともあるもん」と言った後の、園子を愛おしそうに見つめる哲雄の顔が切ない。最中のシーンが多いのに、まったく厭らしさを感じなかった。

最後の浜辺のシーンが大好き。ネバヤンが流れた瞬間に涙が止まらなくなってしまった。「あなたのね やわらかいとこを 僕は知ってるよ」で、ぼろぼろ。なんで私こんな題材の映画で泣いてるんだよとか思いながら、それでも心に何か残るものがあることが嬉しかった。

歌詞の「言葉にしたのなら簡単で困るな」の通り、この映画の良さも言葉にできない良さがあると思った。すべてのことを説明できなくていい、と思う。勿論、部分否定で。

「永遠に続くものはない。永遠に手に入らないものがあるばかりだ」
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