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希望の灯りのseaのレビュー・感想・評価

希望の灯り(2018年製作の映画)
3.8
G線上のアリアを聴くとどうしてもリップヴァンウィンクルの花嫁が浮かんでしまうのだけど、この映画もかなり良かった。

どうしても気になったのが、良い人なのかもしれないけれど、クリスティアンが映画を通して終始「ありがとう」「ごめん」を一言も言わないこと。社会人の第一歩は挨拶からだろ!とつっこんでしまった。やってることも普通にストーカーだぞ……あと講義ビデオに無駄にお金使いすぎだ!

無愛想かもしれないけれど、暖かい人たち。本当に些細なことで笑って、こういう身近なところに幸せってあるはずだよなと思った。バスの運転手さんと顔見知りになったり、毎日同じように制服を着て鏡を見るルーティン。悪く言えば刺激のない日々なのかもしれないけれど、平穏で、小さな幸せが詰まっている日々に思えた。

みんな無理をしているのかもしれない。見えないところで、沢山辛いことを抱えているのかもしれない。自分がそういう状況のときも、人に優しくできる人間でありたいと思った。観終わった後、なぜか涙が出た。

フォークリフトを下げる音が波の音だということ。倉庫も併設している大型スーパーの中に、そんなロマンチックな響きがあるなんて、誰も想像できないね。

ドイツ語本来のタイトルは直訳すると「通路にて」らしい。すべての人の人生において、常に希望の灯りが灯っていてほしい。
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