そーる

イン・ザ・ハイツのそーるのネタバレレビュー・内容・結末

イン・ザ・ハイツ(2021年製作の映画)
4.1

このレビューはネタバレを含みます

ラテン系移民のコミュニティをベースにしたミュージカル映画。
全編通して楽曲がすこぶる良かった。

特に発見だったのは、ラップを基盤とするミュージカル曲は本来歌詞が譜割りの制限による抽象的な表現になりがちなのにも関わらず、その制限を受けにくい為具体的な歌詞に落とし込まれていて
登場人物達の魂との距離がグッと近くなることだった。
そういった意味ではこのミュージカル映画は新たな歴史を刻むと思うし、「小さな夢」という主人公が最初から最後まで話していたテーマも相まってかなり現実味を帯びたストーリーとなっていたから、良かった。
プールのシーンは絵が美しすぎる。
あの色彩豊かな浮き輪や水着と綺麗なブルーでまるでカリブ海のビーチを彷彿とさせる演出には心躍ってしまった。
また、今回はかなり群像劇的な作品であった為、各主人公達が自分のターンになった際に描かれるセット等の脚色的な部分が、各々のルーツが出ていてすごく良い。
アブエラのシーンなんかは、どこか30〜40sを感じさせるような演出になっており、
当時自身が若い頃母と移住してきた背景がとてもよくうかがえた。

しかし良いところばかりではなかった。
もちろん移住してきた際の苦悩を描きたいがためにそういう表現をしていたのは分かるし、
言い方や扱い方で、傷つけられ肩身狭い思いをしてきたのだろうけれど、
アブエラのシーンでは「英語を話せ!」と言われたという描写があったが、
正直そこに関しては「それはそうだろう」と思ってしまった。
自国の素晴らしい文化伝統を持ち込んで、他国でそのまま美味い思いはできないのは当たり前で、
他国には他国のルーツや文化があるのだから。

そういった意味ではこの映画をストレートに受け取ることはできなかった面もあったのでこのスコアに落ち着かせる事にする。

あとがき
個人的にはウスナビは故郷に帰って欲しかったなあ、、名前の由来がUS navyなんて面白すぎるでしょ。笑
そーる

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