ヴぇる

イン・ザ・ハイツのヴぇるのレビュー・感想・評価

イン・ザ・ハイツ(2021年製作の映画)
3.9
現情勢下において人々の心の鬱憤を洗い流し清々しさと気持ちよさの残るミュージカル映画の傑作だ。

作品の頭から最後までカリブの雰囲気を前面に押し出し、明るく陽気でまるで旅行に行ったような疑似体験を与えてくれる。
何よりも特筆すべきはダンスであろう。エキストラが何人いてどれだけの制作費と情熱が必要だったのか考えも及ばないほどの出来であり迫力と圧巻の一言だ。

脚本自体は貧困から抜け出すための夢や希望を何人かの人生を交えて描いており、名前が覚えられるか正直不安だったが、最終的に杞憂に終わった。
つまりキャラクターが全員立っている。名前は覚えられずとも誰が誰なのかは直ぐに理解し楽しむことは出来るので入り込むことは容易だ。なぜなら登場人物のほとんどが善人であり、前向きだ。ミュージカル作品で重要なのは持ってこざるを得ないネガティブ部分を如何にこなすかだと思うが主要人物の悩みを他のキャストが上手く誤魔化してくれている。

加えてCGやアニメーションも凝っており、ダンスの邪魔は一切しない。
個人的にお気に入りなのは男4人が歩きながら歌うところでのパートだ。指の流れに沿って映し出されるダイヤ等の映像は簡易的なものではあるが、視覚効果とインパクトは抜群でありこちらを楽しませてくれる。

総評としては近年のミュージカル映画の傑作達と肩を並べるほどの名作であると考える。ただ、映画館で見た事、そしてこの状況下だからこそ響いたのであって、全てが落ち着き映画館でなく家で見た場合恐らく響かない作品であるのも確かだ。
しかし、いずれにしろ私の気持ちを爽快な気持ちにしてくれたのは確かだったので、点数は高めになった。
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