Hanonwardin

ヘルプ 〜心がつなぐストーリー〜のHanonwardinのレビュー・感想・評価

5.0
公民権運動が盛んな頃のミシシッピ州の日常から、黒人白人差別の視点で人々の旧来の社会観や価値観に切り込んでいく。狭いコミュ二ティ故の社会の難しさや葛藤も。

2012年の映画だが、主演はララランドで脚光を浴びたエマストン。彼女のあどけない表情とハスキーボイスがぴったりの、好奇心と正義感の強い新聞社のライターの役。

一番の泣き所はボブディランのDon’t think twiceがBGMで流れるところ。60年代〜80年代のアメリカのカントリーを語る時には欠かせないのが、まさにボブディラン。この映画も抜かりなく起用されていました。

アメリカのカントリーって他の映画でもよく描かれるけれど、専業主婦たちの閉じられた世界で、しょうもない序列を作ってなんとか自分たちの存在意義を確認し合うんですよね。爪弾きものにされないようにフォロワーは身を低くして。これがリアルなのかどうかはわからないけれど、日本でも地方は割と閉じられた世界だものね、わかるような気もする。

メイドがいていいな、なんて軽々しく言いそうだけれど、メイドであり奴隷ですからね。これは訳が違う。州の法律でいろんな細々したことが禁じられている。ここでのメイドは、所得格差が大きい故、白人の裕福なラグジュアリーな生活の実現のための道具かのような位置付けでした。子どもたちがとってもかわいい。

そして純粋な疑問が、彼ら子育て、しないんだよなぁ。子どもとの関わり、社会の形成方法、人種多様性、女性のキャリアと生活、そんな視点で見ることのできる、文句なしのいい映画です。
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