マーフィー

道草のマーフィーのレビュー・感想・評価

道草(2018年製作の映画)
4.4
上映会の運営側になったため、計3回観ました。

視覚支援も何もない、フラットな人と人との関わり。
だからこそ起きる困難も沢山見られるのだけど、
これはこれでひとつの支援の形だと思います。
どうしても気になる支援はありますが、それをもって作品を語るのは無粋なので割愛します。

このような環境の中では、自閉スペクトラム症を持つ人は
社会のルールと自分の特性の「差」に対して、
支援者の「支援観」を通して社会との「折り合い」をつけていくことで生活が回っていると思いました。
「そんなに食べ過ぎてはいけない」とか「奇声を発してはいけない」とか「人のポテトは人のものとか、
そういう小さなことに折り合いをつけながら生きていく。
対して視覚支援は社会のルールを、
「彼らが理解できる形で説明する」ものだと思いました。

どちらが正解というわけでもなく、
きっとそれぞれの先にそれぞれの幸せがあるんでしょう。

支援が入ることで、生活の質が上がり、
笑顔になる。
支援する側からすれば、
嘘のないその映像を通して
支援することの大変さややりがいを
あらためて感じることができると思います。

余談ですが、作品中で津久井やまゆり園の事件が取り上げられていて、
この凄惨な事件を風化させてはいけないなと思うと同時に
映画という作品にこの事件のことを記録しておくことはすごく意義のあることだなと思いました。
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