たく

魔女がいっぱいのたくのレビュー・感想・評価

魔女がいっぱい(2020年製作の映画)
3.2
うーん‥ゼメキス監督としてはかなり物足りなかった。
いかんせん物語が弱くて、児童文学が原作だからかもしれないけど魔女の悪役としてのキャラクターが古臭いし、冒頭で両親を事故で失った子どもが魔女によって更に不遇な運命を背負わされるところに、「どんな過酷な運命も神の意志として受け入れて前向きに生きるべし」っていうキリスト教的な強引なメッセージ性を感じちゃった。

前作の「マーウェン」と同じく実写とCGを組み合わせる手腕の見事さが際立ってて、そこはさすがゼメキス。
アン・ハサウェイのただでさえ派手な顔立ちを特殊効果で恐ろしくデフォルメしてるのも、なかなかホラー感溢れてて良い。「子ども向け」っていう評判がけっこう目に入って、たしかにお話は子ども向けのおとぎ話だけど、魔女の特殊効果が妙にリアルで気持ち悪くてトラウマになりうると思った。このドイツ語訛りっぽい魔女の権力者的なふるまいはどこかヒトラーを感じさせて、子ども嫌いからネズミに変えて殲滅しようとするのはホロコーストの隠喩のようにも思えた。

ネズミが厨房で活躍するシーンは、どうしたって「レミーのおいしいレストラン」を連想するよね。
オクタヴィア・スペンサーの逞しいおばあちゃんが良かった。「フォレスト・ガンプ」で黒人差別を見事にスルーしたゼメキス監督が、「フライト」や本作で黒人を主役に立ててるところに時代の変化を感じさせる。
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