BOB

ふたりの女のBOBのレビュー・感想・評価

ふたりの女(1960年製作の映画)
3.9
ヴィットリオ・デ・シーカ監督の戦争ドラマ。

第二次世界大戦末期1943年イタリア。未亡人の母親とその一人娘が、ローマから生まれ故郷の田舎町へ疎開する。

「殺すよりひどい」

並々ならぬオーラを放つパケ写がインパクト大だが、内容もそれに負けず劣らず壮絶。一組の母娘の視点から戦禍のイタリアを描いた苛烈な戦争ドラマ。

本作の白眉は、母親役ソフィア・ローレンの熱演。美しく、気丈。目が言葉以上に多くを語っていて、何度も胸を打たれた。特に、無情に走り去っていくジープに、泣き叫びながら石を投げつけるシーンは心が震えた。余談だが、ラテン系肝っ玉母さんといえば、自分の中で、ソフィア・ローレンとペネロペ・クルスが2大巨頭として揺るがない。

母娘と三角関係になる親切な青年役にジャン・ポール・ベルモンド(『勝手にしやがれ』と同じ1960年の作品)。言い方に語弊があるかもしれないが、年頃の娘が母親立ちする話でもあったかと。

イタリア語を話すドイツ兵に何度も混乱させられた。

静止画が小さく遠のいていき、"FINE"の文字が迫ってくるラストカット。古典的な手法なのだろうが、悲劇性を突き付けてくる演出で強く印象に残った。

Pane e Formaggio🍞🧀

・本作でソフィア・ローレンはアカデミー主演女優賞を受賞。俳優賞が外国映画から選ばれたのは史上初。
・元のキャスティングでは、母親役に『無防備都市』のアンナ・マニャーニ、娘役にソフィア・ローレンだった。アンナ・マニャーニが体調不良で降板する際、監督にソフィア・ローレンを推薦した。

📝Moroccan Goumier(グミエ)
1908〜1956年にかけてフランス軍に所属した、支援部隊のモロッコ人兵士の呼称。本作はフィクションだが、終盤に描かれるグミエによる集団強姦は、〈モンテカシノの戦い〉後(1944.5.18~)に起きた史実とのこと。

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