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ストーリーテリングのtubure400のレビュー・感想・評価

ストーリーテリング(2001年製作の映画)
3.2
『ハピネス』『ドールハウス』と観てきてトッド・ソロンズの映画は3つ目だったけど、一番楽しかった。ショック・バリューそのものという感じの前半(fiction)も面白いけど、後半(non-fiction)の悲惨な青春映画という感じが良い。

ホテルで昔の知り合いに電話をかける…というくだりに『アノマリサ』が思い浮かんで、そういえばテーマ的にチャーリー・カウフマンぽいところがなくもない。ただ、トッド・ソロンズはもっとドギツく嫌味な感じがする。人間の業の深さというものを思わされた『ハピネス』に比べると、もっとライトなタッチで、滑稽な嘲笑の連鎖という感じだ。トッド・ソロンズの分身とでも言うべき主人公の、「僕は登場人物を愛している!」と言いながらも、「でも(登場人物の悲惨さが)なんだか笑えてこないか?」という矛盾した態度がキモという感じがした。悪意と、性格の悪いユーモア。「世界がこんなにも惨めなものであると(観客に)押し付ける」ということ。そういう感覚に癒やされる感じが90-00年代にはあったようなことを思い出した。

でもその感覚はそのままその年代に置き去りにされているのでいいのではないか…という気がせんでもない。
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