勇斗

メトロポリスの勇斗のネタバレレビュー・内容・結末

メトロポリス(1927年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます


大きなパイプオルガンの音が膨れ上がり、室内にとどろきわたる。轟音はむくむくと起きあがる巨人さながらに高い丸天井を押しあげ、今にも突きぬけようとしていた。
フレーダーは頭をそらし、大きく見開いた虚ろな目でぼんやりと天井を見上げた。音の洪水と格闘し、心の奥底までかきむしられながら、両手の指先は、混沌の中から音楽を形づくる。
涙もろくなっていた。こんな気持ちは生まれてはじめてだ。恍惚として、熱い涙があふれ、目がかすむ。
頭上には蒼穹をあらわす瑠璃色の丸天井。黄道十二宮の神秘を象徴する金色の獣帯が宙に浮かび、その上には惑星をあらわす七つの王冠、さらにその上には銀色に輝く綺羅星。そこは宇宙だ。フレーダーの涙に濡れた目には、楽の音に合わせて満点の星が厳かに力強く踊り出したように映った。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
頭脳(フレーデルセン)と手(グロート)を、心(フレーダー)が文字通り繋ぐシーン、忘れられない。

大学生活かけてガチ考察した映画

原作の小説を読んで欲しい。こんなにも美しい文章にあったことがない。
勇斗

勇斗