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フォードvsフェラーリのmのレビュー・感想・評価

フォードvsフェラーリ(2019年製作の映画)
5.0
完璧な映画だった。まさに最高の『アメリカ映画』。『ハリウッド映画』ともまた違う、『アメリカ映画』としか呼びようのないものがこの世には存在する。なんか蓮實重彦信者みたいな事を書いて我ながら面倒臭いと思うけど・・
その骨太な力強さとそれを支える映画話術の繊細さ、そして深みと苦味に打ちのめされる。余韻を長く引きずっている・・

軽快で熱い男達のドラマ、手に汗握るレース、金儲けの世界の理不尽さと人生の苦味。
思えば常に『アメリカ映画』を作り続けてきたジェームズ・マンゴールド監督にとって、集大成とも言える渾身の作品だと思う。マンゴールド監督の目立たない巧さが全編炸裂している。

マット・ディモンもクリスチャン・ベールも本人達の持つ個性を活かし切った役柄に完璧にハマっていて素晴らしい演技だった。2人ともこれがベストアクトなんじゃないの?と本気で思う。
妻役のカトリーナ・バルフ、今まで全然知らない女優さんだったけど彼女も本当に素晴らしかった。息子も良かったね・・
ジョン・バーンサルも今回は板挟みになる市井の人を好演。個人的に好きな人なのでなんか嬉しい。


スピードの世界でしか生きられない男達の純粋な想いは現実に揉まれていき、その様は苦く切ない。しかしそれでも彼らは7000回転の先、その人生を賭けるに値する熱を見つけそしてそこに触れた、その事の尊さをこの映画は讃えている。
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