【勝利の向こう側にあるものとは】
期待値を遥かに超えてきた作品。
マット・デイモン、クリスチャン・ベイルという大好きな俳優が出ているミーハー魂で観に行ったのですが、3回も泣かされました笑
ストーリーはとてもシンプル。
1960年代、赤字経営が続いていたフォード社がフェラーリ買収失敗&フェラーリにコケにされたことにより、一念発起し、レーシング業界へ参戦。フランスの世界最難関24時間耐久レース「ル・マン」に挑んだ2人のアツいおっさんの話。ちなみに実話です。
シンプルなストーリーなのですが、ネタバレするとマズイので笑、背景を少々。
フォード社は、大衆車を作ってきた米国自動車会社の大手。
一方フェラーリ社は、レーシングで台頭し、富裕層向けに自動車販売を行なってきた会社。
事業の成り立ちが真逆の構造であり、フォード社のチャレンジは無謀とも言えるもの。
そして、レーシングに進出するとなると、大企業側の目論見とレーシングチーム(マット・デイモン&クリスチャン・ベイル)の目標にズレが出てくる。大企業としては、レーシングを「マーケティング施策」と捉えているが、レーシングチームからすると「絶対へ王者への勝利」を目指している。
このズレにたくさんのドラマがあるということを知る良い機会になりました。
そして、このおっさん2人の夢にもちょっとしたズレがあって、そこが調和していく姿が本当に美しいし、芸術。
マット・デイモン演じるシェルビー:フォード社からレーシング優勝を請け負った敏腕セールスマン。
クリスチャン・ベイル演じるマイルズ:凄腕ドライバー兼整備士。だけど扱いづらい一面あり。
シェルビーは、もともとレーシングドライバーだったけど、心臓病を患い、レースには参加することができなくなってしまった。一方マイルズは、レースで優勝するものの、自身が経営する自動車整備工場は軌道に乗らず、事業を畳むことに。
でも、2人に共通していた「レースで掴み取る勝利」。
シェルビーは、夢を託し、マイルズは夢を乗せた。
そして、2人は「ル・マンでの劇的な勝利」を超えたその先にあるものを見つける。
クリスチャン・ベイルはほとんどのドライビング撮影を自ら行ったそうで、鬼気迫る臨場感は凄まじいものがあります。(IMAXで見るべきだったな…)
タコメーターが7,000rpmを振り切って、ギアをどんどん繋いで220kmを超えるシーンは、まさに「ダンス」そのもの。レースシーンは、観客全員でフォード社のGT40を見守る雰囲気が最高でした。
対比も素晴らしい作品でした。
・心臓とエンジン=目標に向かって動き続けるもの
・大企業と1レーシングチーム=どちらもチームワークが重要
・人の身体と車=すべての機能が絡み合って動くもの。限界を知ることも重要。
そして、1番印象的だったセリフは、クリスチャン・ベイル演じるマイルズ。
「車は1万個以上の部品から成り立っている。その1万個以上の全ての部品が調和するから動く。」
なんという男のロマン笑
いや〜これはもう1回観に行くでしょう…笑