木野エルゴ

ナショナル・シアター・ライヴ 2019 英国万歳!の木野エルゴのレビュー・感想・評価

3.1
迂闊にも序盤寝ててジョージがなぜ乱心したのか分からなかった。最近眠くなるとガクッと落ちるのよね。その後はばっちり醒めてたけど。

マークゲイティスの神経質な役がもうハマってて。というか、神経質な役しか見たことないけど。「コリオレイナス」はそうでもなかったか。とにかく発狂して弱っていく過程が何というか鬼気迫ってて見てて本当に気の毒になった。日々治療と称した拷問を受けながら権力から追い出されそうになる姿を見てると、為政者って人柱だよなぁと思わずにいられない。国民の為に常に幸福な家庭を築かなければならない。終盤幸福という言葉を発する時に歪んだ表情が、発狂から回復しても不自由さからは解放されないジョージの本心が見えたような気がした。

サーローみたいな権力の匂いを嗅ぎ分ける能力に特化した小悪党ポジが好き。「リア王」に感動してるあたり憎めない雰囲気を出してるところが小狡い。そういうステレオタイプのデフォルメを施したようなキャラ作りが特徴的な作品だった。重いテーマをコメディ風にする作り方、とても英国作品らしい。

そういえば首相のピットって「アメイジンググレイス」でカンバーバッチがやってたなと見ながら思った。史実が基になってるから他の作品とリンクするのも当然だけど、そういう発見が面白い。
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