【上には上が居ることを思い知らされた男】
村上龍先生の同名小説の映画化。
これは観るしかないと思ってしまうじゃん...
まだ赤ん坊の我が娘に愛情がわかず己の倒錯した性癖(アイスピックで突き刺す事)をぶつけたくてウズウズしている主人公。
その衝動が強すぎて幻覚まで見ちゃう始末。
代替え案として娼婦を買ってその渇望を満たそうと綿密に計画するも、やって来た娼婦は彼を超えるヤバいどメンヘラだったのであーる。
みたいな作品なのですが、村上龍先生原作の映画化は「オーディション(2000)」くらい徹底的に痛覚を刺激して頂かないと満足できない身体になってしまったのでやはり猟奇的な意味で物足りなかったのであります。
しかし女性をアイスピックで突き刺したいとかいうドS極まりない性癖の主人公を演じたクリストファー・アボットさんの演技というか伏し目がちなお顔がドMにしか見えないパラドックスはすごく好みです。
そしてあのミア・ワシコウスカさんをあえて1ミリも美しく撮らない演出も良きです。
噛み合っているようで噛み合わない2人、
「先に何か食べない?」も妙に記憶に残ってます。
監督はきっとシャイニングとかジャッロがお好きなのだろうなと思わせる劇伴やオマージュ、小物のセンス、色のバランスなどインテリアの美術もすごく目の保養でした。
更に日本の小説を映画化したりワシコウスカさんのお部屋にアラーキー先生の写真が飾ってあったり…監督から親日の香りがいたします。
ホテルの部屋で娼婦を殺めて解体するまでのエアーノコギリによるギコギコ予行演習は笑いました😂
ワシコウスカさんの診察を待つ間に公衆電話から奥さんに電話をかけてアドバイスを貰う妄想も好き。
あのカットで奥さんが1番ヤバい人って騙されそうになった!
グロゴアをもっと振り切ってアボットさんをズタズタに切り刻んでいたならば個人的にずっと楽しめたと思います。