このレビューはネタバレを含みます
謎が解けた途端につまらなくなる作品って多いじゃないですか。
この作品は真相がわかった後にこそ、真の絶望が待っています。
暴力と支配と恐怖、あらゆる不条理は今まさに目の前に広がっています。
それらを前に僕たちは口をつぐんでジッと息を潜め、かつての幸せやこれから訪れるかもしれない美しい未来を夢想することしかできないのでしょうか?
痛みを恐れず、勇気を持って立ち向かった先に開けた景色は、果たして「本物」なのでしょうか?
自分の存在そのものをグラグラに揺るがされ、見終われば一体これから何を信じていけばいいのか、と途方もないやるせなさが湧き上がりました。
そびえ立つ絶望に対峙した時、それでも僕らがやるべきことは、微かに残された希望…のようなものを手繰り寄せながら生きていくことなのだと思います。