このレビューはネタバレを含みます
近年稀に見る苦しい映画…。午後半休使って観るもんじゃなかった。
母親はかなりクソだがそれ以外にほとんど悪人が出てこず、なのにこんなにバッドエンドになるかね。ベニーを見ているととにかく苦しいです。あのまま凍死する方が幸せだったんじゃないか、と一瞬思ってしまいました。
結局ベニーと一緒に穏やかでいられたのは赤ちゃんと犬だけで、そんな人間でも生き続けないといけないのか…という絶望があり、それでも周りの全員が本気でベニーを思っているという美しさもありました。気持ちで人は救えないのかもしれないけど、それに意味がないとは思いません。いつかベニーには自分が愛されていたことを心から理解して欲しい。
ただ、ここまでごちゃごちゃ書いてきたけどこれ全部保護者側からの勝手な意見で、ラストカットが象徴するようにベニーはこの世に生まれてからずっと、ただ全力で生きているだけなんですよね。もしかしたらドイツが合わなかっただけでケニアだったら楽しく暮らせるかもしれない。ケニアがダメでもまたどこでも行ったらいい、そしていつか、自分の居場所を見つけられたらいいなと思いました。何も解決しない映画…と思っていたけどよく考えたらまだベニーは9歳9ヶ月!人生は始まったばかり!