まるのすけ

システム・クラッシャー/システム・クラッシャー 家に帰りたいのまるのすけのレビュー・感想・評価

4.3
9歳の少女ベニーが主人公。彼女は幼少期に父親から虐待を受けたトラウマから、怒りを抑えることが出来ずどこにいても暴れ回ってしまう。彼女はそのことから母親と一緒に住むことが出来ず、児童福祉施設や精神病院などを転々として暮らしている。

ママが大好きで、ママと暮らしたい、と心の底から願っているのに一度許せないことが起こるとその母親にすら暴力的になってしまう。そして自分の首を絞める形で引き離されてしまう。たくさんの大人達がベニーの為に手を尽くすも、トラブルからどんどん選択肢が狭まり、悪循環に陥る。

映画を見ていて、ベニーの気持ちにもなるし、ソーシャルワーカーやトレーナーの気持ちにもなる。母親の気持ちにもなる。色んなところに自分が存在して身の置き所がない。
ミヒャの「自分なら救えるはず、そう思い上がってしまった」の台詞も物凄く共感した。

全編ハラハラして引き込まれる。主演のヘレナ・ツェンゲルの演技が凄まじい。