大好きな母と一緒に暮らしたい。
愛を欲するベニーの悲痛の叫び、怒りや悲しみを浴びる。
何度も繰り返される苦しさと温もり。
無垢でコントロールの効かない怒りや喪失と交錯する大人の優しさと残酷さ。
差し伸べられる手を
掴もうとも手放される
観客の希望に反し、反動的に苦しみを肥大化させてゆく現実に打ちひしがれる。
答えのない問いかけ。
彼女の抱えた問題は、彼女だけのものか?
福祉や医療、大人たちは
どのように手を差し伸べるべき?
ベニーを演じた
ヘレナ・ツェンゲルの子供とは思えぬ圧巻の演技に度肝抜かれる傑作。