ヤマニシ

システム・クラッシャー/システム・クラッシャー 家に帰りたいのヤマニシのネタバレレビュー・内容・結末

3.9

このレビューはネタバレを含みます

 クソガキの話。主人公に感情移入しやすいように作ってあるがクソガキであることには違いない。正直、この子が救われないことに福祉が足りないとか社会の理解が足りないとは思えず、できる限りのことはしていると思う。あそこまで手を尽くしてもまっとうな社会生活を送れないのは、本人が福祉を受けることを拒んでいるせいじゃないかな。昔なら非行に走った時点で社会が見放してたけど、今は子供の価値が上がったから可能な限り救おうとして、結果的に福祉が消耗する。とはいえ特定の人間しか社会に馴染めずそうではない人間はドロップアウトするような社会よりは、この映画のように可能な限り手を尽くす社会の方が正しい気もする。
 主人公の女の子は正直見ていてイライラするので自分は福祉には携われないなと思う。癇癪もちで目的があるわけではなく自分の要求を通すことに達成感を得るようなタイプであまり関わりたくはない。ママと一緒に暮らしたいというのも自分がどんな主張をしても無条件に愛してくれる存在が欲しいだけじゃないのか。通学付添人に対しても父になってほしいと要求したりするあたりにその気を感じる。家族としてのつながりの強さを打算的に見ているようで気持ち悪いなと思う。通学付添人も一対一で向き合えば何とかなるかと思ったが、彼女のそういう部分を見抜けなかったのでかえって事態は悪化した。とはいえ問題児ごとに個別の対応が必要となるわけだから難しい話だね。映画としては安易にハッピーエンドにならなくてよかったと思う。
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