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在りし日の歌のyontanuのレビュー・感想・評価

在りし日の歌(2019年製作の映画)
4.0
大きな哀しみとたくさんの小さな幸せの積み重ねで人生は続いていく
どこかで折り合いをつけて、日々を淡々と続けていくしかない夫婦の心の拠り所は、結局お互いしかなかった

1980年代〜2010年代まで、結構ザクザクと切り替わるから初めはこれいつだとか思ったけどすぐ慣れる

やっぱり中国の歴史には色んな改革や政策があって、それを知識的に知っていても、実際に体験した世代のような気持ちは到底わからないもんなんだな、て痛感
ひとりっ子政策のためにどれほどの哀しみを国民に与えたのか、
国有企業の政策の押し売りのせいで友との関係性もままならなくなり、
でもその哀しみを心の内で受け止めるこの夫婦は、何を諦め何を期待したのかな
だけどそんな時代の中にも、その時代なりの幸せがあって、彼らは満足していたりもして、そんな小さな幸せが続けば良かったのにね

都心にいれば経済成長の恩恵を受けられたけどそうはせず、田舎に住んで、あとはゆっくり老いて死ぬだけと、そんな事を言いながらも、きっと何か拠り所が欲しかったんだなぁと思う

長回しの自然なカットが多くて観やすかったし、冒頭から画がすごくきれいで、
中国あるあるの食事のシーンがめっちゃ美味しそう
あの朝食の饅頭がものすごい食べたかった

ここ!というシーンがあるわけじゃないんやけど、3時間集中して観れたな、
最後は涙腺ずるずる
月日が流れ、家族って、友って、いいなぁとしみじみ
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