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『在りし日の歌』に投稿された感想・評価

no

noの感想・評価

3.5

このレビューはネタバレを含みます

場面が過去現在行き来して分かりづらい点があったのと、2人の悲しみはわかったが、他の人との関わりや繋がりに関して情報が少ないことが感情移入を妨げた
果てしない時間の流れを表すのに上映時間を伸ばすのはいいが、本作でそのテクニックが有効かと言われると正直微妙だ
ラストは本当によかった、幸せな気持ちになれた
それはハウハウの家族やハウハウの心が解放されたからではない、単にリウ夫婦が救われたからだ
ハウハウ側の描写をもっと描いていれば、全ての人がこの無の数十年から救われた気がするけど
息子を亡くした夫婦の話。

衝撃的な出来事があると、生活はしているし歳もとるけど、まさに自分の人生の時が止まってしまう。
再び時が動き出す日が分からず、ただ息をする日々は辛い。
けれど振り返れば、全ては今のために必要な時間だと感じた。
Nanako

Nanakoの感想・評価

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悲しいことがあっても、嬉しいことが続いても人生の速さは変わらない。
残酷で力強くて温かい映画だった。

このレビューはネタバレを含みます

中国の現代映画は激動の時代を越えてきた人びとの苦悩や希望を丁寧に描くものが多いように思う。この作品は寡黙で重く長い(3時間超)が、命とは、生きる喜びとは、人の生きる道とは何かを実直に伝える素晴らしい作品だった。観てよかったと心から思えた。いろいろな感情が通りすぎ、レビューに数日かかってしまった。

リウ夫婦の困難の人生30年を描いているのだが、人の道を外さなければ、苦悩の中にもささやかな喜びがあり、人生を支えられるのだと教えられた。当たり前のことでも、苦労人に言われると救われる思いになる。

リウ夫婦は大きな国有企業の工場の工員として働き、社宅の寮に住み、同僚家族と友情を育み、一人息子シンシンと共に平穏な暮らしをおくっていた。ある日、シンシンが貯水池で亡くなったことから夫婦の人生は苦しみの連続となっていく。

シンシンの事故は家族ぐるみで交流している同僚家族の息子で同じ日に生まれたハウハウによるものだった。

リーユンは第二子を妊娠したときに、一人っ子政策によって会社から堕胎を強制され、手術の事故で二度と命を宿すことができない身体になっていた。

女の確信犯の恐ろしさ、ハウハウの叔母は若くて残酷だった。妊娠できなくなったリーユンの夫ヤオジュンに横恋慕して誘惑し妊娠。渡米するから妻リーユンに育ててもらってくれとヤオジュンに迫る。リーユンはヤオジュンの子供ならほしがるはずだからと。

リーユン、ヤオジュン夫妻はシンシンに似た子供を養子にとり、シンシンと名付けて可愛がるが…(ここからがメインストーリー)

共産主義でもリストラや失業があり、不満分子の密告制度で報償金がもらえる。ハウハウの父は仲間を売っていた。

原題(英語)「So long, my son」
息子の死から少し離れ、今を生きる。そういう境地に至った物語だった。
シンシンのお墓参りのシーンはなかなかショッキング。

この作品は、人生の苦しみを飲み込み、他責せず、地に足をつけ、まっとうに生きる人にささやかだが、光に包まれる一瞬の喜びを与えている。端からみれば特別なことではないが、忘れられない美しいシーンだった。あのシーンを観られて本当によかった。

リーユン演じたヨン・メイ、ヤオジュン演じたワン・ジンチュンは、ベルリン国際映画祭でそれぞれ俳優の銀熊賞を受賞している。

痛ましい出来事は、厚いベールとなって人生に影を落とし光を遮る。影は連鎖となり巻きつき自分を責める。どこで不幸の連鎖を裁ち切ればいいのか切実に知りたかった。

私事だが親友の自死がきっかけで長いこと鬱体質になり、何度か入院している。私が招いたことであり、悔やんでも悔やみきれない。
長い下り坂と谷から這い上がっては転がり落ちるを繰り返す焦燥の人生。B級映画35本立てみたいで、連鎖が切れず愚かな自分を信じられなくなり、人間を信じることができなくなった。

本作品のリウ夫婦は、裏切られても人の善性を信じている(フィクションですが)。そこに気づかされた。かつて皆で優しい時間を過ごしたことを忘れない。それを壊したハウハウの一家。それでも友と互いに言い合う。リウ夫婦の当時の決意が振り返りで最後の方に出てくるのだが、自分たちが死者を悼むことから離れることで、生きている人間が幸せになる道を選んでいた。人の道とはそれなんだと思った。

だから、リウ夫婦は困難な人生を送ってきたが、不幸とは思っていなかったのだと思う。目の前に壁が立ち塞がり、絶望しても、人を信じて前を向こうとしていた。過去の出来事を許したのではなく、未来を信じた。

人を信じられなくなることがいちばんの不幸ではないか。そう問いかけられているようだった。
答えはなかったが、問いかけを見つけられた。
Ryoma

Ryomaの感想・評価

4.7
濃密すぎる185分だった。とてつもない満足感。中国の激動の時代を生き抜いた家族の物語。罪と償い、赦しと解放が大きなテーマにもなっていた。一人っ子政策、恐慌による不況、そして家族との別れ、80年代〜90年代〜2010年代にかけて揺れ動く時代、様々な困難や試練が降りかかろうとも懸命に生き抜いた夫婦の姿に力強いありったけの勇気をもらえた。また、無駄に長尺ではない絶妙な会話の間や長回しのカットによりあるがままの生活が映し出されることからよりひしひしと込み上げるものがあるった。
人生の長さは人により各々違うけれども生きていれば過ちを犯すことはだれしも大小の差はあれどあると思う。たとえ罪を犯してもそれを罪と受け止めた上でその背景にある思いを包み込んでくれる家族の存在は何ものにも変えがたい存在なんだと痛感した。
演者さんの演技も本当に圧巻だった。第69回ベネチア国際映画祭で最優秀男優賞&最優秀女優賞を受賞したのも頷ける。時代・状況ごとに変化する彼らの表情ひとつとっても自然体すぎて、親の身ではない自分でも我が子を思う気持ちに共感したし、親の身ならより沁みるものがありそうだなと感じた。
亡くなった者は再び戻ることは二度とないけれど、一緒に過ごした日々は確かに存在していて、記憶の中では決して色褪せることはないのだと心の底から感じた。そう訴えかけてくるメッセージが込められていて、感じさせてくれる説得力があったのだと思った◎
So long My sonの原題のほうがマッチしてた。一人っ子政策の余波はほんとうにいろんなところに出ていただろうことは想像出来る。

年老いてからの昔の傷が癒されるシーンはジーンとした。ただ実際の世の中ではこういうハッピーエンドはむずかしい気がする。笑。

長丁場ではあったけれども丁寧な作りで安心して観ることができた。
Noah

Noahの感想・評価

4.2
文化大革命の混乱を引きずりながらも改革を進める時代。混乱と忍耐の時代の中でも主人公家族とその親友の家族は兄弟のように仲良く暮らしていた。その息子達の1人が死ぬまでは…。

死んでしまった子の両親と、死なせてしまった子の両親。それぞれがおった心の傷と罪による苦難と、再生を描く。

時系列を組み替えて様々なシーンを関連付ける形で物語は進んでいく。初めは事実として描かれていた事に、過去のシーンが重なる事で、“理由”という重みが加わっていく。

要所要所で演出的BGMは流れるものの大半は極めて写実的に描かれており、ダイレクトに伝わる生活音の存在感から、それらの音一つ一つにも、彼らの苦悩が滲み出ている気がしてくる。

とにかく重く深く訴えてくる作品だが、その中でも営みを続ける事の尊さや、終盤に訪れる光が、この上なく眩しく感じる。

観た後小一時間暗い部屋の中でじっとしていたい気持ちになった。
1z3

1z3の感想・評価

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中国の建造物って妙に無機質で冷たさを感じるんだよな、そこから全体主義的な背景をも感じ取れるくらいに。一方で人との交流における情の熱さは(少なくとも自分が暮らす)日本とは比にならないくらい温かい。間違いを叱ってくれる人がいるのは幸せなことだと思う。
國本

國本の感想・評価

3.5
主演2人の溶け込み方が尋常じゃないな。
最近3時間とか平気で見れるようになった。
1980年代~2010年代の中国を舞台に、激動の時代を生きた一組の夫婦の姿を中心に描かれるヒューマンドラマ。

中国の田舎町で暮らすヤオジュンとリーユンの夫婦。そして一人息子のシンシン。二人目をもうけようとするも、かつて中国が推進した一人っ子政策の影響で中絶を強要される事態に。その手術のせいで子供が産めない状態に陥ってしまう。

更に追い打ちをかけるようにシンシンが川遊びの事故で死亡。絶望の淵に立たされた夫婦は、地元を捨てて遠くの町へと移り住むことに。それから養子を迎えるも関係は上手くいかず、複雑な状況になる。

中盤までのあらすじですが、ここまででもかなり壮絶。一人っ子政策の厳しさをひしひしと感じる内容でした。これが近年まで隣の国で続いていたという事実。こんな苦しい思いをした人も中国ではかなりいたのではないかと思います。

数多くの困難が降りかかるも互いを助け合ったヤオジュンとリーユンの夫婦。この2人だからこそ絶望に染まりきらず、苦しみながらも自分を保ちながら過ごせたのでしょう。彼らを演じた主演の2人もお見事。老年期までを演じていて老けメイクも自然体で違和感ありませんでした。

この2人だけでなく友人家族の贖罪も大きなテーマ。シンシンの友人だったハオハオが抱え続けた罪。それを吐露する終盤は本作の1つの見所。

重苦しさがのしかかる3時間ですが、ラストに近づくにつれて少しずつ希望の光が見えてくる展開には救われましたね。

ただ中盤までは時系列が複雑に入り組むので、正直それはいらなかった気がします。ラストの養子の心変わりも唐突気味だった気が。それでも映画ファンなら、この長尺をかけても見る価値は十分ある作品という印象です。
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