マクガフィン

君と、徒然のマクガフィンのレビュー・感想・評価

君と、徒然(2019年製作の映画)
3.2
■17歳と17歳
何気なく、在り来たりで手堅いシチュエーションだが、短い時間の中に教室のカーテンが揺れることで心象背景を味付けしたり、セリフ以外の役者たちの僅かな表情や仕草で、キャラ付けや心象を表現することに感心する。素直になれないことや受動的な微笑ましさが何とも言えない。

■21歳と20歳
詰まらないギャグを挟んでどうなるかと思いきや、才能が在る者と在らざる者の対比や夢を追う者と無いものを求める者達の、捉えどころのない相違のようなことが徐々に分かるアプローチに。それらが裏付けが足りないようなモヤモヤはあるが、雰囲気は伝わるし、2人が二度と会わないような人生の岐路的な奥深さも感じるので、短編ではアリかも。

■31歳と30歳
コスプレ衣装がきついが、狙っているので許容範囲に。場所探しと自分との決別とその過程のやり取りの対比やギャップが何とも言えない。原作が男性か知りたくなった。

■総評
無名女優ばかりだが、今後の活躍が期待できる女優もいたりして、女優の演出だけでなく配役に感心も。
短編オムニバスでコケまくる邦画界で、鑑賞しやすい上映時間とリーズナブルな料金に感心する。丁寧過ぎることで逆に伝わりにくいこともあるが、女性同志の描写の上手さや若手監督の独りよがりの作品にならないことも良く、脚本家を付けた企画も良かったのでは。
友情や愛情とは少し違うGL的な雰囲気の漂わせ方など、一定層のファンもあると思うので、今後に期待できる狙い目のジャンルなのでは。