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赤い闇 スターリンの冷たい大地でのsyuheiのレビュー・感想・評価

3.5
2020年のアグニエシュカ・ホランド監督作品。原題は"Mr. Jones"。実在のイギリス人記者ガレス・ジョーンズが実際に飢饉のウクライナに潜入取材した記録の映画化。

本作で描かれる大飢饉は1932〜1933年にかけて人工的に発生させられた、世界史上の大虐殺事件とされる。>ウクライナ人たちは強制移住により、家畜や農地を奪われたために400万人から1,450万人が死亡した。また、600万人以上の出生が抑制された。 / ホロドモール - Wikipedia https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9B%E3%83%AD%E3%83%89%E3%83%A2%E3%83%BC%E3%83%AB

大飢饉を暴いたガレス・ジョーンズの記事はソ連と通じていたNYTのモスクワ支局長デュランティから猛攻撃を受ける。その後、ジョーンズは満州取材中に誘拐され、29歳の若さで命を落とす。 https://en.wikipedia.org/wiki/Gareth_Jones_(journalist)

劇中、何度か登場するのはジョージ・オーウェルで、『動物農場』が引用される。スターリンを2本足で人間のように歩く豚に見立て、全体主義、独裁政治を批判した同作は反共作戦の一環としてCIAによって東欧諸国にバラ撒かれたと言う。>動物農場 - Wikipedia : https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8B%95%E7%89%A9%E8%BE%B2%E5%A0%B4

飢饉を扱っている映画だけに、食べること、飢えることの表現がねちっこく、執拗とも言えるほど。極寒の地でパンをナイフで削り取って口に運び、ゆっくりと咀嚼し、飲み込むジョーンズのギリギリとはいえ"文明的な食事"の描写は、その後彼が口にするモノと痛烈に対比されている。

ただ、歴史の勉強にはなるけど、正直、映画として面白いかと問われれば、微妙と言わざるを得ない。食事中に観るのは控えたほうが良いと思う。

https://twitter.com/syuhei/status/1409838522047942660?s=20
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