るい

赤い闇 スターリンの冷たい大地でのるいのネタバレレビュー・内容・結末

4.0

このレビューはネタバレを含みます

元外交顧問でクビになり、フリーランスの記者の となった優秀な若い青年の視点から淡々と描かれる第二次世界大戦が始まる前の話。

今現在、ウクライナがロシアに攻め込まれてるタイミングでこの映画を観ることになったのもたまたまで何かの巡り合わせを感じさせられる。この当時は当然SNSもなく、世界の情報は限られたカタチで紙面等でしか知り得ない。主人公の青年は、ソ連が何故こんなに栄えてるのか辻褄が合わないのでソ連のトップであるスターリンにインタビューする為にソ連に飛ぶ。以前コネでヒトラーへのインタビューも成功してる事もあり今回もインタビューにこぎつけることができるのではないのかという期待を感じる。ソ連では、当時のイギリスと何か雰囲気の違いに気付き始める。外を出るときは、見張りが付いていたり会話も大きな音量で音楽を掛けていないと大事な会話が出来なかったりする。主人公は母にウクライナの話を聞かされて居た事や仲間の記者がウクライナに行こうとして暗殺された疑いがあることをヒロインの女性から聞く。危険を承知でウクライナで自分の目で現状を確認する為に、ソ連のヒエラルキー高い人間に今も外交顧問である事とソ連が如何に優れているのかという嘘をつきウクライナ方面への汽車に行くことができた。見張りの目を盗み逃げ出しウクライナに着くことが出来たが、想像もしない現状を見る事になる。そのあたりには、死体が転がり人々は日常すぎて気にすらしない。強制的に働かせられて人々は皆悪い意味で平等に飢餓に苦しみ、食べ物すらないので木の皮や餓死で亡くなった身内の太腿を食べて飢えを偲ぶ現状目の当たりにして驚愕する。そして、ソ連に捕まりソ連側に半ば強制的に約束させられる。ソ連の現状を言わないことである。破れば他の捕まった記者達の死を意味する。国に帰り、悩む主人公だが多くの飢餓に苦しむ人々を救う為にイギリス国内でもソ連の現状を伝えるが誰も動かない。他国の現状に首を突っ込み自らの立場が危うくなってるから見て見ぬふりをする。主人公は、その後の行動力で何とか国内中にソ連の現状を大衆に伝えることができたがエンドロールではガイドの人間がソ連の人間と繋がっており30歳を迎える事なく殺されている。

映画を観ていて思ったのが、生活水準は異なっていてもソ連とロシアは同じであった。不都合な情報を流す人間は、強盗に見せかけて殺したり今では毒殺や不自然死と形が変わっただけ。大きな大義の為に、個人は完全な駒で人権の概念が栄えてる国と大きく異なる。過去にウクライナはこれほどまでにソ連に苦しめられて今も苦しめられている。
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