満福味坊

赤い闇 スターリンの冷たい大地での満福味坊のネタバレレビュー・内容・結末

3.3

このレビューはネタバレを含みます

ウクライナで人工的な大飢餓が起こる。そこで自分が見てきた事実を伝えようとしても、飢餓を認めないソ連政府と、事実を伝えないニューヨークタイムズの記者。ウクライナに行くまでは、古い印象はあっても、とても華やか。

それがウクライナ行きの電車に乗った瞬間、世界から色が消える。「あの人、食べ物持ってる…」と子供の囁く声と、周囲の視線が手元のオレンジに集まる。皮を捨てると、皆が群がる。車内では、唯一オレンジが色を持ってて発色していた。

噛みごたえがあって胃に貯まればいい、それが食べ物じゃなくても。まな板にコロンと乗っていたモノや、6歳位の女の子が妹と弟の為に作るスープの具。親が居ないから食べたらいけない事は分からないのだろう。子供達の透き通る歌声と残酷な歌詞。

旅立ちの日、もう生きては会えないだろうと、抱きしめたいのに拒絶してしまう女性エイダのシーンが好きだ。外では繁栄してるように見えてても、パンひとつ食べれない人が何百万人もいたホロドモールを伝える作品。

死んだ母親と一緒に、まだ生きている赤ちゃんが死体の荷馬車に乗せられるシーンが頭にこびりついてる。