ギボン三世

赤い闇 スターリンの冷たい大地でのギボン三世のレビュー・感想・評価

3.8
見るタイミングを逸してしまいプライムにて視聴。

タイミングを逸したとき、まさかロシア・ウクライナ戦争が起きるとは想像していなかったが、改めてソヴィエトのやり方とウクライナの苦難に触れる機会となった。

また、ジャーナリズムの光と闇をうまく描いている。よく東西問わずメディアが気持ち悪く自画自賛的に正義を貫いたジャーナリズムを描いた映画を賛美するが(ちなみに、決してそうした映画は嫌いではない)、そうした作品は大抵権力者が悪で、メディアは正義という構図であるものが多い。実のところ大衆社会では、メディア自身が権力側であることを案外自覚できていない。だが、この映画はそうしたメディアの側面をうまいこと描いていると感じた。

もうひとつ注目していたのが、ロイド・ジョージだ。彼はその重要性に比べてあまり娯楽映画には出ていないところがあり、戦間期というシチュからも期待したのだが、正直あまりグッとくる描写はなかった。

むしろ、ジョージ・オーウェルのコメントには興味を惹かれた。彼は真実に触れたソヴィエト外の左派知識人の戸惑い、揺らぎを代表するような役割が与えられている。製作側がどこまで計算していたかはわからないが、リアリティさがあった。
ギボン三世

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