祐吉

赤い闇 スターリンの冷たい大地での祐吉のレビュー・感想・評価

4.0
ポーランドの巨匠アンジェイ・ワイダの弟子筋にあたる、アニエスカ・ホランド監督作品。原題は、主人公・実在のイギリス人ジャーナリストのガレス・ジョーンズから“Mr. Jones”。

1930年代、スターリン時代のソビエトの状況を取材すべく潜り込んだイギリス人ジャーナリストと彼の見たウクライナを描く。とても重いテーマの作品だし北朝鮮などの現状を見た人には目新しさはないかも知れば行けれど、「1984」のジョージ・オーウェルが書いた「動物農場」の製作過程と同時に描かれるなど、エンタテインメント作品として見事に脚色されている(ちなみに「動物農場」はジブリ美術館がアニメ化された作品をDVD化、石ノ森章太郎がコミカライズ、開高健が翻訳、宮崎駿もコメントを寄せている。小型二つ折りチラシ参照)。ジャーナリズムのありようが疑問視されている日本において、今観ておくべき作品だと思う。
ちなみに『マチルダ 禁断の恋』のミハリーナ・オルシャンスカもチラリと出演。

また試写会時に行われた森直人さんの解説が、時代背景から脚色された(であろう)部分、当時の掲載記事の媒体性質、関連映画の紹介(直近の作品では『ジョーンの秘密』『死霊魂』を挙げられてました)など端的に語られ、とても興味深かった。とてもいいテキストになると思うので、You-Tubeなんかで流せばいいのにな、と思いました。
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