ロネ・シェルフィグ監督3作目の鑑賞。
母子家庭の切迫した貧困が描かれる「わたしは、ダニエル・ブレイク」などと比べると、主人公があまりにも上手く行きすぎていて、子供の行動が突然に思えたり、ニューヨークに来る前の状況がリアルに伝わってこない気がしたのも事実だ。
それでも私は、監督が作り出す温かい世界観を信じたいと思った。作品全体の温かさは、登場人物たちのキャラクターから来ていて、特にナース役のアンドレア・ライズボローがとても魅力的だった。ロシア料理店のオーナーを演じるビル・ナイの包容力も素敵で、彼の存在が作品に深みを与えてくれる。
ニューヨークを舞台にした作品は数え切れないほどあるが、大都会の片隅にこんなお店があるといいな、と素直に思わせてもらえる作品だった。