えま

ニューヨーク 親切なロシア料理店のえまのレビュー・感想・評価

4.0
前半の心を抉られるような展開から、
冬場の暖炉のような温かさをまとう後半と
心が大きく揺れ動く映画だった。

基本線は「孤独と、ぬくもり」、DVから逃げてきた母親らが出会う、冤罪で収監されていた元レストラン経営者が営むロシア料理店。孤独が孤独を救う、温かい物語だ。

しかし、この物語の中でもう一つの主題となるのは、アメリカ、特にNYにおける貧困格差。贅沢な暮らしをする人々が街を彩るのに対し、大量のホームレスが陰に潜んでいる。
様々な理由で職を失い、家を失った人がNYの地を這い、そして、寒さで凍死してしまうものも後を絶たない現実。


前半のプロットはとても綺麗に進んでいた。しかし個人的には、夫の登場はもう少し緩急をつけたほうがいい気がした。絶望の上乗せのような登場は、ある種その登場を軽くしてしまうような気がする。
後半は、わかっていた展開であれど、もっと尺がほしい。裁判の展開がするすると裏で進んでいくようなものに感じえた。
えま

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